2012年 05月 06日 ( 1 )

「ヘルプ」 予想と違う重厚感

c0146834_2349245.jpg
「ヘルプ」の予告編と黄色のイメージカラーから勝手な想像をしていたようです。
もっと軽やかで、ユーモラスな作品を予想していたのですが、
考えてみれば人種差別を中核に据えた作品ですよね、
軽妙なものになる筈も有りません、
結構ズッシリとそれなりに重さのある映画でした。

作品的には主人公のスキーターがもっともっと一人空回りするぐらいに
熱血的に動き回るのかと思いきや、
そういうわけでもありませんでしたね。
強引に感動を煽る事も無く淡々と黒人メイド達の置かれた状況を描く、
薄口な感じの映画でした。



出演は
主人公のスキーターはエマ・ストーン、
(ホントは綺麗なのに)程よくブチャイクに見えるように扮しながらも、
めげずに真っ直ぐな性格を押し通す女性役を演じています。
共演陣は
アカデミー賞助演女優賞候補、エイビリーンを演じたヴィオラ・デイバィス、
アカデミー賞助演女優賞を獲得したのはミニー役の方、オクタヴィア・スペンサー
憎らしいほどの敵役ぶりを発揮して、この映画でたっぷり濃い存在感をみせるのは、
ブライス・ダラス・ハワード扮するヒリー。
少しお馬鹿そうだけど魅力的で肉感的な人妻を演じたのは、
シーリア役のジェシカ・チャステイン。
監督はテイト・テイラーです。
c0146834_23493982.jpg


1960年代頃、ミシシッピのある街での出来事、
上流階級に属するスキーターが
大学を卒業して故郷へ帰ってきたところから始まります。
彼女、いちおう新聞社のコラムニストとして働く事になる新米職業婦人です。
上流階級の家庭には黒人のメイドがいるのは当たり前。
スキーターの同窓生達は早々と結婚し、
有閑マダム然とメイドを顎でこき使った生活をおくっています。
小さいときは母親よりも親しい存在で、
黒人のメイドに、愛情たっぷりに育ててもらったというのに、
成人するとそんな事は一切忘れ、下僕として扱う、
当時は当たり前の事だったのでしょうが違和感を感じます。
挙げ句には、病気が移ると大変だからと、
黒人専用のトイレを屋外に作ってしまうほど。
それでも黒人達はその仕打ちに耐えていたのです、
腹の中は煮えくり返るような思いで。
たった今から50年前は、そんな時代だったのです。
スキーターはこんな状況に疑問を抱き、
メイド達の置かれた境遇を世に訴える本の執筆に取り掛かるために、
協力してくれるメイド達を探しはじめだのでした。
最初は職を失う危険を感じて協力を拒否していたメイド達の中で、
エイビリーンとミニーは協力してくれるようになります。
だが、白人有閑マダム達の中でも
実の母親を老人ホームへ入れてしまうようなハワード扮する、
女性コミュニティーのボス、ヒリーは、
メイド達への対応も熾烈です。
黒人専用のトイレを作るように提唱したのも彼女だし、
永年彼女に仕えているメイドが子供の学費の援助を願い出た時にも、
辛辣にNOを言い渡しました。
顔つきがもう嫌みのきわみで、敵役を一手に引き受けているって感じです。
やはり悪者がいる映画は締まります。

もう一人、同じ白人女性なのに女ボスに嫌われているせいで
村八分状態にされているシーリアは下層階級出の女性、
メイド達に全然偏見を持っていません。
彼女のような女性を見ると心が和んできます。
彼女の存在で、白人の中にも平等主義の人がいることがわかりほっとします。

この話の結末はその後の歴史が証明していますが、
ほんの半世紀前までは人を人と思わない時代だった事を忘れてはならないのと、
直ぐそばにもそんな偏見が残っているのを自覚し是正していかなければ、ですね。
[PR]
by asat_abc | 2012-05-06 12:30 | 映画_新作