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「軽蔑」と「東京公園」

「軽蔑」の作風はトンコツ濃い口味でした。
田舎のボンボン息子が身よりのないストリッパーに一途な恋をして、
自分の故郷へ連れて行くものの
彼の田舎はまるで現代とは思えない時代がかった因襲を抱えていて
身分違いの恋愛に周りの人間はこぞって反対、
破滅に向かうという、メロドラマでした。
鈴木杏が文字通り、体当り演技を見せた作品でした。
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一転「東京公園」は
薄口の塩味透明風のスープでした。
義理の姉弟が、お互いの心の奥底にしまってあった恋心を
ある事件を通して直視するというお話でした。
それは異性に対する恋心というより肉親に対する想いだったようです。
そう、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で
過去の時代にワープしたマーティン少年に恋した同世代の過去のお母さんが
彼にキスした瞬間、恋愛対象では無いことを悟ったように。
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ふたつの作品はある意味対極にある作品でした。
前者はほとばしる感情を剥き出しさせながら怒涛のように突っ走るお話に対して、
後者はお互いの気持ちをまるでタマネギの皮を一枚一枚むくかのように穏やかに表現してゆきます。

作品の出来に関しては、軽蔑の方はツッコミどころ満載です。
冒頭カズさんがまちこをかっさらうために
ピストルを発砲したというのに事件にもならないの?は序の口で、まだ許せるけれど、
まちこはカズさんと山畑という二人の男を狂わせる程の魅力の持ち主だというのに、
私にはどうしても田舎の芋姉ちゃんにしか見えません。
そしてどうしてもいわずにいられないのが、
タクシー内でのラストシーン、
だいたいあんな患者を乗せてくれる訳ないじゃないと
ツッコミたい気持ちがうずうずし、鑑賞どころじゃなくなっていました。

東京公園の方も冒頭でひろクンの身元をわかるように説明して欲しいものです、
というか、ひろの存在のは必要性はさほどなく、バッサリ切りすて、
コンパクトに纏めた方が、わかりやすかったと思ったのですが。

しかし、1日置いて思い出してみると
軽蔑の方が脳裏に刻み込まれているのは
ただ単にインパクトが強かっただけでしょうか?
by asat_abc | 2011-10-24 22:00 | 映画_新作
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