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「水曜日のエミリア」、なんで水曜日なの?

「抱きたい関係」は観てないけれど、
「ブラックスワン」、「マイティ・ソー」、
そして「水曜日のエミリア」とナタリー出演作は今年3本目、
様々な役柄で活躍する。
この人の性格はかなり勝ち気で一本気のような気がするれど
演じる役はとても繊細なものが多い。
今回もその路線だが、
やっばりかなり勝ち気な役柄だ。

「水曜日のエミリア」で感じたのは
欧米人は日本人とやっぱり文化が違う、
コミュニケーションの取り方が違うと言うこと、痛感させられた。

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父が判事だったエミリアは弁護士となって
今の旦那様と知り合った。
旦那様は妻子持ちだった。
彼の妻は医者で多忙を極め、
夫婦中は破綻していた。
だが、子供のウィルはまだまだ子供、
母が恋しくってたまらない。
養育権の関係で水曜日だけ
エミリアが学校へ向かいに行くが、
ウィルの方は本当の母が恋しいとばかりにエミリアには冷たいし、
母親から教えられたのだろう、
エミリアの痛いところを無邪気についてくる。
旦那様は付き合い始めの頃、
エミリアの事を好きではあるものの、
家庭まで壊すつもりはなかったが、
エミリアに子供が出来てしまい
その勢いで再婚する事になった。
女の子が生まれ、新しい家庭を始めようとした直後に
不幸な出来事が起こった。
生後一週間で女の子が突然死する。
そのトラウマからエミリアは逃れられない。
それはまだ誰にも話していない事実を抱えていたから。

連れ子のウィルは母親に吹き込まれた
琴線にふれるような赤ん坊の悪口を
さりげなくついてくる。
産まれて一週間はまだ人間じゃないとか。

エミリアはもう一つのトラウマを抱えていた。
実の父親を信頼できないのだ。
彼女の父親は判事時代、母親以外の女に入れあげていたのだ。
その事が彼女にはどうしても許せない。
一度は離婚したくせに、最近また両親が付き合い始めている事も
気にいらない。
その上、実の父親とフィルとの仲が良いのも気にくわない。

エミリアという女、
一見するとかなり男っぽい性格のようだが、
実は結構意固地な性格で
厄介だ。

その厄介なところが、
赤ん坊の追悼式典の時に爆発する。
彼女の気持ちを和らげようと、
流産しまった彼女の親友がエミリアにも式典への参加を進め
旦那様とウィル、エミリアの両親、親友達が
一緒に参加してくれたのだが
赤ん坊の死に向き合えば向き合うほど
避けては通れない事実に直面してしまい、
式典の時、その感情が爆発、
自分の父親を口汚く罵ってしまう。
判事という道徳者の仮面の裏側には
家庭を顧みず、ストリッパーの元へ通い詰める
生臭いエゴイストの顔を持っていた事を
激しく断罪する。
観ている側が痛くなるくらい痛烈だ。
これには旦那様も呆れ果ててしまうほどだ。
家に帰ったエミリアは
その日の行動を反省しつつも、
押さえきれないテンションでとうとうトラウマを旦那様に告白する。
赤ちゃんを殺したのは私だ!
赤ん坊をベビーサークルへ入れろと言われたのに、
だっこしたまま眠ってしまい、
窒息死させてしまったのだと。
そして、家を出て行く。

この状況を救ってくれたのはウィルのママだ。
ウィルまま、
あれほどエミリアをコケにし、いたぶっていたのに、
医師としての所見を彼女に示し、
エミリアをトラウマから解き放ってくれる。
難しい事はわからないが
抱っこしていた事による窒息死ではないと
理路整然と説明してくれる。

この辺が日本では考え難い感覚だ。
このシーン、作り物でないならば
欧米人の徹底したヒューマニズムに脱帽だ。


エミリアという一女性を通して、
人間誰もが多かれ少なかれ持つ、
トラウマから解き放たれなければ
幸せな日常活動は出来ない
というキリスト教の懺悔にもつながる道徳観を感じるなどと言えば
安っぽい感想かな?
by asat_abc | 2011-07-26 06:48 | 映画_新作
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