人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「ジーンワルツ」産婦人科医の応援歌

大谷健太郎監督
菅野美穂、田辺誠一、風吹ジュン、桐谷美玲出演
111分、2011年制作
東映制作映画
東映配給

「ジーンワルツ」産婦人科医の応援歌_c0146834_16541649.jpg

日本の人口は1億2千8百万、
まだ増加しているが次の国勢調査ではそろそろ減少しそうな状況だ。
国自体が子供を育てる手立てを国民の善意に任せており、
子供を産むにも育てるにもこれからそうしようかという人達に優しくない環境だ。
子供手当だって一度決めたのだからやり通さないと効果はわからない。
精神的にも物質的にも豊かさを継続するためには子供が多い活力ある社会じゃないと、と思う。
子供の顔を見ている時ってみんな優しい顔になってるよね。
子供、どうしようか迷っている人に、そんな人に観てもらいたい、映画だ。

大学で講義を受け持っている理恵はマリアクリニックで非常勤の先生をしている。
それを陰ながら応援しているのは清川先生、
彼は次期教授の呼び名があがっているエリート医師だ。
清川が応援しているのは当然理恵が好きだからに他ならないのだが、
実社会はそんなに単純でない。
理恵は今の学会から見れば反体制派だし何をしでかすかわからない、
だから清川はいつもハラハラしながら見守っている。
マリアクリニックは現在の院長が余命わずかで一旦閉鎖が決まっている。
残る患者は4人、
ヤンキーで子供を堕ろしたがっている女。
子供が欲しいのだが胎内で異常が発見され出産しても直ぐ死んでしまうと宣告されている女
長年子供が出来なかった夫婦にようやく子宝が恵まれた高齢の女
そして50代の超の付く高齢出産をしようとする女だ。
理恵はこんな難問を町の産婦人科医として挑んでゆく。

関心が薄い私の耳にまで出産受け入れを拒否する病院が多いのが聞こえてくる。

断片的に日本の医師の数は余り始めているとも聞いているし、
無医村の数も増えていると聞いている。
これらが本当だとすると日本という緩い国は
あたたかいくにから
ゆるいくに
へ、変貌しているようだ。


理恵はこの問題に立ち向かう為に一産婦人科医として医局を辞め、
NPO法人を立ち上げる決意をする。
この辺の踏ん切りの良さ、潔さは
ここのところ、うじうじした愛だとか出生の秘密だとかを扱う題材が続いていたのでとても心地良く響いてきた。

そうこうしていると、
マリアクリニックの患者で高齢出産しようとしている女は
日本の倫理規定に抵触する代理出産だという情報が清川の耳に入ってくる。
調べるうちに、彼女は理恵の母で有ることもわかる。
いよいよ出産の日というときを迎えなんと出産が3組も重なってしまう。
更に最悪、台風の為に明るくってそそっかしいが役に立つ看護婦も電車がとまってこれない。
3組のうち二組は帝王切開だ。
立ち会うのは、理恵、清川、そして余命わずかのマリア先生。
この辺はさながら漫画だ!
これだけ漫画チックな展開になれば、悲劇は無いだろうと安心して観れるというものだ。
そもそも映画のクライマックスのエピソードとして使っているだけでテーマとは違うのだから。
3組の出産劇は無事終了、生命誕生の礼讃が唱われる。メデタシメデタシだ。
そうしてもう一つの謎が解き明かされる、理恵の母が代理出産したのは理恵の子だが
父親は誰かということが。

映画の日、
これから子供を持つ可能性がある男女は是非観て、
子供を育て易い環境を作ってくれる政治家を支援して下さい。
何よりもそれが一番だと思います。
by asat_abc | 2011-03-06 10:53 | 映画_新作
<< 「アレクサンドリア」、レイチェ... 日本アカデミー賞のキャスト部門... >>