「余命」何回くらいキスしたかなぁ?病に伏せった女の前にようやく男は現れた。 近づく男の胸元を女は力一杯 叩く。叩く。叩く! そして抱きつく。 「頑張ったね。怖かったろう」 男の言葉に女は応える。 「怖かった、もう帰って来ないのかと思った。」 半年前、女は子供を産む決意をした。 だがそれは自分の身を犠牲にする覚悟でもあった。 彼女の体には乳癌が再発していたのだ。 治療すればもう子供を産むチャンスはなくなる。 自分の身体と引き換えに故郷の奄美の夕陽のもとで 彼女は子供を産む覚悟を決めたのだった。 最初は低空飛行、どうなることやら、心配してしまった。 後になってその理由の一端がわかった。 松雪さんの演技が固いのだ。 女流作家、谷村志穂の描く主人公の滴(しずく) になろうとするあまり、 観客を置いてきぽりにして、 自分だけなりきってしまっていのだ。 夫役の椎名桔平がマツユキさんに囁くように 「いままでにキス何回くらいしただろう」なんてキザな言葉を 囁いているシーンが何度かあったが、 こんな言葉をさらっと言える男はどれ程いることだろうか、 なんて事を考えながら観ていた。
by asat_abc
| 2009-01-28 21:20
| 映画_新作
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