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「アーティスト」アカデミー作品賞は頷ける

ご存知2011年のアカデミー作品賞に輝いた映画です。
白黒でサイレント映画ですから、物珍しさも有るでしょうが
物珍しさだけでは30分がせいぜいで、そこから観せる力は本物です。
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作品賞、監督賞、主演男優賞など5部門受賞も頷けます。
主演のジョージ・ヴァレンタインにはジャン・デュバルジャン、
共演はベレニス・ベジョがペピー・ミラー、
そして凄い演技を見せてくれるのはタレント犬のアギー。
監督はミシェル・アザナヴィシウス。

みんなの顔がいっぺんに名前と一致出来るようになりました。
サイレント映画の大スター、ジョージはかなり我が儘な性格のようです。
今日の舞台挨拶でもやりたい放題、共演女優のドリスよりも愛犬アギーの方を引き立てます。
劇場前の共同インタビューでも好き勝手な振る舞い、
ついでに、周りに集まってきた観衆にも愛想を振り撒きます。
すると1人の女性ペピー・ミラーがはずみから彼に近寄りキスまでしちゃいました。
まだ名もない駆け出し女優の彼女は、大スターの熱烈なファンです。
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次の場面、
せっかくオーディションで掴んだ役を
プロデューサーのアル・ジマーに奪われそうになるところを
大スター、ジョージが助けてくれます。
御礼を言いにいった誰も居ない大スターの楽屋、
彼の衣装を操りながら一人二役でペピーが演じてみせるシーン、
こちらまで切なくなっちゃいました。
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彼女、ジョージの事が好きで好きたまらないのです。
知り合った時は
大スター男優と駆け出し女優だったのに、
時代は移り変わり、
いつしかサイレント映画からトーキー映画全盛に変わり、
大スターだったジョージは誰にも振り返られないただの人
一方駆け出し女優のペピーはトーキー映画のスター女優へと立場はまるっきり逆転してしまいました。
でもジョージの事を何とかしたいと落ちぶれた大スターを陰から一身に支えようとするペピー。
いじらしくなってきますが、その想いは歪んで伝わり、
ジョージは意固地になっちゃいます。
そして、絶望しきったジョージは、ついに銃に手をかけてるのです。
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今後、監督と主演男優は再びコンビを組んで次回作は「プレイヤー」
白黒からカラーへ
サイレントからマシンガントークへ
180°ベースを替えて魅せてくれそうです。
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最後に、
「アーティスト」はハッピーエンドの心和む映画です!
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by asat_abc | 2012-04-30 00:09 | 映画_新作

「さあ帰ろう、ペダルをこいで」ミキ・マノイロヴィッチ主演

2008年、ブルガリアはじめ数ヶ国で製作された
心温まる珠玉のロードムービーが来日した。

主演のミキ・マノイロヴィッチは何かの作品で見覚えがあるけれど、
彼以外は初めて見る人ばかりです。

1983年共産党政権下のブルガリアから祖父と祖母を残し
ドイツへ亡命したアレックス一家。
25年後ブルガリアへ里帰りに向かう途中、
交通事故にあい両親は死亡、
アレックスは記憶喪失になってしまう。
事故の報を聞き、ブルガリアから駆けつけた祖父バン・ダン(ミキ)は
アレックスと一緒にタンデム(二人乗り)自転車にまたがり
彼の記憶を取り戻させ、
再び元気を取り戻させるための旅に出る。
行き先は故郷、ブルガリアだ。
先を急ぐわけでない、行き先々で彼の哲学を優しく教えていく。
「人生はサイコロの目と同じ、どんな目が出るかは運と才覚次第」だと
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この映画はチラシから知ったので、
予備知識は殆ど有りませんでした。
どちらかといえば、
文部省推薦が付きそうなドキュメンタリータッチの硬派な作品をイメージし、
観るか観まいか迷ったのですが、結論は観て正解でした。
ハートフルで、明日への希望が伝わってくる
地味だけど分かり易く元気が出てくる映画でした。

公開はこれから、
観る価値がある映画です。
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by asat_abc | 2012-04-27 20:43 | 映画_新作

「ドライブ」 ライアン・ゴズリング主演

渋谷のヒューマントラストは最近良く利用する映画館です。

シアターが3つ、
シアターらしい大きさの1と、
ホームシアターぐらいの3と、
その中間ぐらいの2。
「ドライブ」は一番大きい1で上映中でした。
この作品を作ったデンマーク出身の監督ニコラス・ウィンディング・レフン作品
「ヴァルハラ・ライジング」もシアター2で上映されていて、
先週、前もって観ていて予習済みです。

両作品には監督の特徴が濃厚に投影されています。

特徴その1
内側に秘めた狂暴さが突如として表出してきます。
特徴その2
狂暴さを際立たせるのは、画面から現される静けさとセリフの少なさ。
セリフは必要最小限に押さえています。

特徴その3
そして独特の「間」です。
この「間」は北欧映画の特徴なのでしょうか、
何本か観た北欧映画に共通して、この何とも云えない間が有るのです。
残念ながら私にはその良さが良く理解出来ませんでした。

だから、予習した「ヴァルハラ・ライジング」は先週観たというのに、
後半部分の記憶が殆どありません。

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「ドライブ」がハリウッド作品ならば、
典型的なジェットコースタームービーになっていそうなストーリーですが、
独特の間によって
ライアン・ゴズリングの熱演ぶりは青白い炎を放って映ります。

最近注目されるようになってきたこの役者さんを初めて意識したのは「ラースとその彼女」、
作品として初めて観たのは「ブルーバレンタイン」、
最近ではキルスティン・ダンストと共演した「幸せの行方」や
「スーパーチューズデイ」といった、魅せる作品が中心です。

「ドライブ」での彼の役どころは、
表の顔は映画のスタントマン、
裏の顔はそのドライブテクニックを活かして、
強盗犯を逃走させるドライバー、
そして普段の顔は自動車修理工場の整備士です。
カーアクションビンビンのアクション映画かと思いきや、さにあらず。
そのシーンは必要最小限です。

物語は
同じアパートの人妻(キャリー・マリガン)に惹かれ、
出所したばかりの彼女の夫を助けようと強盗の手助けをした事から事件に巻き込まれ、
事件の黒幕と戦っていくというものです。
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人妻に対する淡い恋心と思いやりに彼の本質的な優しさを示しつつ、
普段の優しい顔の裏にある冷酷なまでの行動に
彼が育った劣悪な幼少時代が垣間見えます。
これを口数少ない演技で演じきっていました。


彼と心を通わせる人妻役にはキャリー・マリガン、
薄口な顔の割に頑張ってます。
「私を離さないで」で初めてその存在を認識し始めましたが、
女優魂が伝わってくる役者さんです。

「フェイム」では清純なイメージを完全にぶち壊し、
体を張っていました。


「ドライブ」は一見の価値がある映画でした。
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by asat_abc | 2012-04-26 23:44 | 映画_新作

ヴァンサン・カッセルの堕ちていく修道士 「マンク」

渋谷のシアターNは時々利用する劇場です。
ホラーとか際物の上映が多いので、
この作品「マンク」もチラシの感じからその手の作品と思いながらも、
何かそそられるモノを感じ、 観に行っちゃいました。
金曜日のアフター5、上映時間の5分前に何とか到着です。
席をゲットしてから周りを見渡すと、
なんと観客は私を含め4人です。
大丈夫〜?
とんでもない映画を観に来てしまった?
と後悔がはしりだしました。
上映開始までに観客は二倍に増えまものの、
依然ガラガラです。

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映画が始まると不安は一気に吹き飛んじゃいました。
主演のヴァンサン・カッセルが魅せてくれます。
映画のテーマは殉教と背徳。
修道士や修道女が迫り来る誘惑に負けてしまい
落ちて行く者達が哀れに描かれています。

時は17世紀後半ぐらい
ヴァンサン・カッセル演じる修道士は
修道院の前に捨てられていた赤子で、
修道士達に育てられて、修道士になるべくして成人しました。
序盤は信仰に帰依する事に一途で、誰からも慕われる姿が描かれています。
修道院の生活しか知らない、無菌培養された修道士の姿が描かれています。
そこへ悪魔の手先が彼を誘惑しに来るのです。
焼けただれた顔を隠すという名目で覆われた仮面の下には
美しい女の顔があり、彼を誘惑してくるのです。
その誘惑は強引な形で彼に迫ってきました。
一度の過ちで踏みとどまっていたならば
情状酌量の余地があったのでしたが、
見つかったならば必ず信用は失墜してしまうと思い込んでしまったのでしょう。
何故ならば自分自身が一度の過ちも許さない教条主義者だったから。

更には彼は甘美な味を知ってしまったのです。
タバコも吸ったことがなく禁煙している人よりは、
タバコの味を知った上でやめる方が何倍も禁煙は困難になるでしょう。
彼は甘美な誘惑にズルズルと引きずられ、堕ちていくのです。
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彼と仮面の修道士、
彼と懺悔する修道女
彼の説法を聞いて崇拝する少女という
三つのエピソードを絡めながら彼が地獄に堕ちていく様が描かれています。
ヴァンサン・カッセルの抑え気味の演技にも、
喝采ものです。

残念なのは
一時間半程度の作品だけに
彼が悪魔の誘惑に負け、落ちて姿にそれほど時間をかけられていない事です。
この部分はもっともっと強調して欲しかったところです。
その過程で人格が破壊されて行き、人相迄もが変わっていく様や
実は世俗に染まってしまった方が 人々には魅力的見えるという事を
R指定が付くぐらいこってりと描いて欲しかったのですが、
実にあっさりと描かれてしまったのは残念です。

更にいえば、
鑑賞後、パンフレットを買ったのですが、いくら500円で安いとはいえ
三つ折り裏表版ではいくら何でも暴利でしょうが!
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でも、求道者的な性格の人には 面白く感じれる映画です!
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by asat_abc | 2012-04-25 06:11 | 映画_新作

「バトルシップ」スカッと爽やか ど迫力!

この映画こそ3Dで観たいと思った作品です。
ド迫力で、この手の映画にありがちな大雑把すぎる荒さを感じさせる事なく、
最後まで一気に魅せてくれます。

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監督はピーター・バーグ、「ハンコック」が主な作品です。
出演者には
今売り出し中の、テイラー・キッチュ
ハリウッド作品が続く、浅野忠信
いまやすっかりハリウッドの顔となった、リーアム・ニーソン
とある劇場では早口言葉のようになっている「孤島の王」はお父さん、
アレクサンダー・スカルスガルド
プロテニスプレイヤーのアンディ・ロディックの奥様、
ブルックリン・デッカー
音楽界からは、リアーナ が参戦です。

ユニバーサル100周年記念作品ということで
大々的な予告編を劇場で観たときには、
類似的な作品である「インデペンデンス・デイ」を連想してしまったのと、
画面から顕されるエイリアンの圧倒的な強さから
無敵のエイリアン軍団に素手同然の人類がやる気だけで勝ってしまうような、
荒唐無稽さを感じてしまい、少し退いてしまいました。
だから、パスするリストに入っていたのですが、
友人がブログで良い出来だったと感想を述べていたのを読んで、
考え直して観るだけでもと劇場へ行ってみました。


出だしの掴み、
テイラー・キッチュ扮するホッパーが素敵なブロンド女性のサマンサへ
猛烈にアタックするシーンは笑えるし、
あれだけの事されたらサマンサがイチコロになってしまうのは当然でしょうと
しっかり映画にズームイン。

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圧倒的な強さを持つエイリアンにも弱点が有るわけで
いち早くそれを見つけて反撃に移り奏功する所は、
なる程、こうなるよな〜、と納得ものです。


但し大作にありがちな、ツッコミ所もいっぱいあります。
軍事水準に圧倒的な差が有るのに、地球の武器がそんなに簡単に通用して良いの?
というのはいつものこととして、
ホッパーのムチャクチャな作戦が通用するなんで都合良すぎじゃない?
とか、
ミズリー号がすぐさま活躍出来るなんて、どう考えたって無理だよ、とかは
とりあえず映画なのでと、それは胸にしまい込む事にしました。

そうすれば、ど派手で爽快感いっぱいの、思いっきり楽しめる映画になります。
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ホッパーの兄さんはじめ多くの人達がバンバン殺戮されるのは残念だとして、
からっとサバサバしてゲーム感覚みたいで、あとにひきません。
まぁ、原作がゲームだったそうで、納得です。

音楽が好きな人には、リアーナの凛々しい活躍ぶりも
魅力でしょうね!
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劇中ではミリタリールックで、こんなセクシーなシーンはありませんので、
あしからず。
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by asat_abc | 2012-04-24 22:54 | 映画_新作

「LOFT」心理サスペンス

2010年オランダ作品。
アントワネッテ・ベウメル監督
出演者は初めて観る人ばかり
ベルギーでヒットした作品をオランダでリメイクして、日本上陸
キャッチコピーは
「注目のシチュエーション心理サスペンス」

マンションの最上階の秘密のロフトルームを情事の為に共有する男5人。
楽しみも束の間、手錠をかけられ血まみれで死んでいる女が発見される。
そこから、仲間内での犯人探しが始まる。
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5人の誰かが犯人なのは九分九厘わかるのだが、一捻りも二捻りもしていて、
考えるほどに隘路に誘導されてしまう。
何も明かされぬまま警察の取り調べシーンが入ったり、
ロフトルームを共有するまでの5人それぞれの心の動き、
五人仲間の妻達を含めた交遊ぶりや夫婦仲、
ロフトルームを共有してからの各々の情事や
それによる夫婦関係のもつれなどが
てきぱきと説明され、
犯人を解くカギは、あらぬ方向へ陽動され、誘導されてしまう。

渋谷はヒューマントラストシネマで一月から開催されている
未体験ゾーンの映画たちの第14作目。
普段めったに観ることが出来ないオランダ作品だ。
事前知識が無かったから、一体何語で話しているのか、
ドイツ語に似ているけどちと違う。
どちらかといえば、北欧の言葉の方に似ているように感じた。

面白い作品だと思う。
少しスケール感にかけるので、
テレビドラマでも良いのでは、と思ったが、
最後にそれなりに見栄えのするシーンが用意されている。

期間限定なので、気になった方は早めに劇場へ
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by asat_abc | 2012-04-24 07:44 | 映画_新作

「ヒューゴの不思議な発明」映画ラブ

3D作品を何作か観たが、
今までの中で一番奥行きや立体感が見事で、
その美しい映像を観るだけでも一見の価値が有るし、
物語の内容が
映画創世を支えたジョルジョ・メリエス氏を讃える内容の映画ラブの話だけに
映画ファン必見の作品です。


物語はあるひとりの少年ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)が
老紳士に一冊の手帳を取りあげられたことから展開していく。
少年はパリのモンパルナス駅に住み着いている孤児で、
父親は不慮の事故で亡くなり、
駅の時計係をしている飲んだっくれの叔父に引き取られて以来、
駅の裏部屋に住み着いている。
今ではその叔父も何処かへ行ったっきり帰ってこない。
老紳士は駅中でおもちゃ屋を商っている。
そんなある日、
老紳士は自分のおもちゃ屋へ紛れ込んで来た少年から手帳を取り上げる。
その手帳は少年と亡くなった父親を結ぶ大切はもので、
少年が父親と手直ししていたからくり人形の設計図が載っていたのだ。
少年は返してもらうために、老紳士の家まで押しかけ、
そこで老紳士夫婦に育てられている少女
イザベル(クロエ・グレイス・モレッツ)と知り合う。
駅周辺には多くの孤児がいて、彼等を取り締まる警察官がいる。
警官(ジュード・ロウ)は彼等を捕まえては孤児院へと収容していた。
少年は警察官の目をかいくぐりながら、
駅中で何とか生活を続ける毎日をおくっている。

こんな設定がわかりやすく説明される。
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ここからどの様な展開になるのか、
この段階で私は
実は少年と老紳士とは縁続きの関係で、
最後にそれがわかり、
可哀想な身寄りのない少年が
ハッピーエンドになるというありふれた展開を予測してしまったが、
まるっきり裏切られてしまった。
ここから老紳士ジョルジョ氏への賛辞が始まっていく、
なぜなら彼こそは映画創世の立役者の一人ジョルジョ・メリエス氏なのだから。
二人の接点となった、からくり人形は
映画制作を手掛けていたジョルジョ氏が作り出した物だった。
彼はもともとマジシャンで映画の魅力に取り付かれ映像制作の世界に入り込み、
ストーリーのある映画を自前の世界最初となる映画スタジオで作り出したのだ。
メリエス氏は元マジシャンのテクニックを活かし、
今でいうSFX的なテクニックを馳駆し、アクション映画を何本も制作し一世を風靡した。
だが、アクション映画の衰退とともに、
当時のちゃっちいSFXに一般大衆は見向きしなくなってしまった。
その余波でメリエス氏の映画制作会社は倒産、
この業界からすっかり身を退いてから何十年もたっていた。
ヒューゴ少年がかつて自分が作った、
からくり人形の設計図が載ってある本を持っていておどろいたのだ。


マーティン・スコセッシ監督はここから更には、映画ラブのストーリーを奏でていく。
映画が好きな人なら嵌ってしまうテイストだ。

老紳士役のベン・キングズレーの感情を抑え気味の演技が
世の中から弾き出された男の悲哀をあらわしている。
ヒューゴ少年役のエイサ・バターフィールドは
まだ世の中にすれていない少年をピュアに演じ、とても可愛らしい。
少年を助ける少女には
クロエ・グレース・モレッツ、すっかり売れっ子になった。
彼女、近くからみるともう思春期か?と思わせるが、
全身の姿を取ると、まだまだ少女なんだな、
と幼さに気付かされる。
それと浮浪少年達を孤児院送りにする少しイケずな警官にはジュード・ロウが出演している。



感動的作品であるとともに、映画ラブを深く感じ、満喫出来る映画だ。
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by asat_abc | 2012-04-19 06:31 | 映画_新作

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」 2月セレクション③

スティーブン・ダルドリー監督
(リトルダンサー、愛を読むひと)

出演
トム・ハンクス
サンドラ・ブロック
トーマス・ホーン

芸達者な人達が未来永劫に語り継がれだろう911の悲劇から、
素晴らしい自己再生の蕾を開かせてくれた映画です。
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オスカーの父(トム・ハンクス)は911の被害者の一人。
オスカーとはいつも宝探しゲームをして遊んでくれていた。
父親が残した「鍵」は次の宝物探しの暗号のはずと思い込み込みたかった。
だから、その秘密の答えを求め
その暗号の意味を知っているはずのブラック氏を
ニューヨーク中を駆け巡って探し出しす冒険をする。
そして、その冒険を通して多くの人と交流を持ち、
父親を失った悲しみを乗り越えてゆくヒューマンドラマなのです。

父親役のトム・ハンクスは息子に対する愛情に溢れ、
少年の喪失感を浮き上がらせてくれる上、
少年の冒険を共にしてくれる謎の老紳士の存在も、
その正体が直ぐ想像がつき、
それが余計に物語を引き立ててくれるのです。
更には少年の母親役のサンドラ・ブロックが、
オスカー少年の行く先々を先回りし、
息子と会う人々に事情を話し協力を求めていたとわかるくだりには、
すっかりやられて、涙ボロボロ状態にされてしまいました。
トドメはビルが崩壊する直前に、
父親からかかってきていた電話に対応出来ないでいた
少年の心情につながってゆくのです。
役になりきっていたトマス・ホーンの演技には脱帽です。
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by asat_abc | 2012-04-16 23:08 | 映画_新作

トリコロール三部作、一気に鑑賞

2011年暮れに、これが日本では最後のリバイバル作品と触れ込みの
トリコロール三部作、青・白・赤を一気に観ました。


この作品の事前の知識は殆ど無い状態で観ましたが、
後で調べたところ、
監督はクシシュトフ・キェシロフスキという54歳で亡くなったボーランドの監督です。
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観た順番はトリコロールカラー同様、自由・平等・博愛の青白赤の順で観ましたが、
製作されたのも1993〜94年、この順番で良かったようです。
監督の遊び心なのか3本の作品に共通するワンシーンとして
裁判所のシーンが有りました。
何故裁判所なのか、それは赤のメインキャストが元判事だからだと
勝手に解釈しちゃいましたが。
それと観ていた時にはまったく気が付かなかったのですが、
赤の愛の後半部分に前二作に出演していた俳優たちが出ていたようです。


一本目は青の愛、
ベネチア映画祭で金獅子賞作品です。
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テーマは「自由」のお話し、ジュリエット・ピノシェが主人公です。
ジュリーは、自動車事故で旦那様とまだ幼い娘を一瞬に失ってしまいます。
その喪失感から開放されるまでの葛藤を描いていました。
一人残された彼女が子供のキャンディを食べた後、条件反射のように夫を思い出し、
まるで夫の代わりでもさせるように自分に想いを寄せる男を呼びつけ、
一夜を供にするシーンは物悲しくなってきます。
この夜を契機に、彼女はお城のような我が家を出ます。
それが開放への第一歩になったのです。

夫への想いを断ち切る為に彼の事をもう一度調べ直していく内、
夫には、身ごもった愛人がいる事が判明します。
この辛い事実を乗り越えた末、彼女は一度は棄てたはずの我が家に戻って来るのです。
旦那さんの愛人まで連れて。
この辺の感覚がフランス流なのでしょう、残念ながら私にはわかりませんでした。


次は白の愛、テーマは「平等」編です。
ベルリン映画祭で監督賞受賞作です。
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愛おしくて狂おしくなるほど愛する妻、ドミニクから
性的不能を理由に離婚され 傷付いたカルロが自国ポーランドで実業家として一旗揚げて、
妻を見返そうとします。
妻は夫の事を疎んじながら、本当にいなくなったと思った時、
初めて夫の事を深く愛していた事に気付くという、
アイロニーたっぷりな作品でした。
離婚原因の性的不能は 米では当然の離婚理由でしょうが、
男女間の愛情では、
一方が惚れすぎてしまった時に
平等では無くなるとでも語っているようなお話しに思えました。
離婚を突きつけ、最後に罠にかけられる元妻役、
ジュリー・デルピーが魅力的でした。


三話目は赤の愛、テーマは「博愛」です。
前二作のようにベネチア、ベルリンでの受賞となりませんでしたが
作品としての評価は一番高いようです。
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退職した裁判官、ジョゼフの趣味は盗聴、
彼が飼っている犬を通して知り合った若い女性、バランティーヌに、
盗聴によって知った人達を的確に予言してみせるが、
彼女の汚れのない純真無垢な人柄に触れ元判事の心の青春の蹉跌が開かれはじめる。
彼が貧乏法学生の頃愛した女性は
将来より現在を取り、彼を棄て他の男の元へ去っていったのだ。
そのトラウマが引き金になって、
彼は人間不信に陥ってしまったのだが、
彼女と交流を持つ内にその痛みが徐々に癒され、考え直すようになる。
そしてロンドンへ旅行するという彼女に
船旅を勧める。
だが、折からの暴風雨の為、彼の元に船の転覆事故のニュースが飛び込む。
テレビでニュースに食い入る彼の目に救出されたバランティーヌの姿が映しだされる。

出演は「二人のベロニカ」のイレーヌ・ジャコブと
「男と女」のジャン=ルイ・トランテニャン。
モラルとインモラルとのはざまで正しいこととは何かを考えさせられた、
とても出来の良い作品だと思います。

3部作を観て、心地良い満足感を味わいながら映画館をあとに出来ました。
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by asat_abc | 2012-04-07 12:17 | 映画_新作

「サラの鍵」の悲劇

これは去年の暮れに観た映画です。
この映画、「サラの鍵」は文科省推薦とテロップが入りそうなくらい
健全で道徳的で最後にはそれなりにハッピーに終わってくれる
心あたたまる映画に思えるようでいて、
実は物語の中核に据えているユダヤ人姉弟へは
かなり冷たい結末を用意している映画なんですよ。
終戦記念日頃に日本でも戦争の悲惨さを忘れないようにと
毎年毎年戦争を題材としたドラマや映画が作られるけど、
ヨーロッパでもナチスの残虐を忘れないようにと、
このような映画が毎年作られているのでしょう。
これといった目新しさはないものの 硬質の高水準のドラマ が
また一本出来上がりました、という印象で受け止めました。
物語のメッセージは、戦争は人々を不幸にする!! この一言につきます。
このメッセージを手を変え品を変え繰り返し繰り返し伝えています。
このメッセージが滞り始めるとまた不穏な時代に突入するのでしょう。
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物語はあるユダヤ人一家が強制収容される際に
小学校低学年ぐらいの姉が五才ぐらいの幼い弟を
家のクローゼットに隠したままにしてしまいました。
数週間後に姉が命からがらアパートに辿り着き、
そのクローゼットで見たものは。。。
ものがたりは、現代にそのクローゼットのあるアパートを手に入れた女性が
あるきっかけでその少女の消息をたどることになります。
その女性を道先案内人として、
少女の生涯を辿ってゆく というストーリーです。

映画冒頭すぐに、家族は突然収容所へ連れて行かれます。
その時機転を利かせた姉は弟をクローゼットに隠します。
その時 母も黙認、その時は良い選択だったはずです。

仮の収容所に連れて行かれ、とても直ぐには帰してもらえないと知った家族は
弟の事でもめ始めます。お父さんは娘をなじり始めます。
そんな事いったら駄目だよ、お父さん! そんな気持ちにさせられました。

親子三人バラバラの収容所へ送り込まれ、その中で姉は弟の為に必死に抜け出そうとし、
とうとう仲間と脱出、親切な老夫婦の住む民家に辿り着きます。
その家のおじさんと彼女が住んでいたアパートへ行って、
弟がいるはずのクローゼットを開けてみると。。。
姉の金切り声とクローゼットがあけられたのがわかるシーンが映しだされます。

不憫に思った老夫婦は彼女を養女として育てます。
寡黙だが、優秀で芯のしっかりした性格の美人に成長した彼女は
成人すると家を出て直ぐに連絡を絶ちます。
恩は充分過ぎるほど感じているものの、
過去を断ち切りたかったのでしょう。
その後彼女はアメリカへ渡り素敵な恋をして子供を一人産みますが、
幼い頃のトラウマが幸せになることを許しません。
結局彼女は幸せな人生をまっとう出来ず、
息子も本当の母の生き様を知らずじまいだったのです。

弟を殺してしまったというトラウマの為に彼女は
自分の幸せを許す事が出来なくなってしまったのです。

それもこれも全てはナチと戦争が作り揚げた不幸なトラウマのせいなのです。
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by asat_abc | 2012-04-05 23:58 | 映画_新作