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手塚治虫の 「ブッダ」

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今から2500年前だから紀元前5世紀頃
釈迦はこの世に生を受けた。
今回の作品は3部作の第一話らしく、
釈迦誕生前のチャプラとタッタの話と、
釈迦がヤショダラ妃との間に子をもうけ、
出家するまでを描いている。
手塚治虫の「ブッダ」におもいっきり嵌っていた時期があり、
漫画は全巻買い、夢中になって何度も何度も読んだ。
その映画化とあって、公開初日に観に行ってしまった。

この物語はインドの話であり、インドと言えばヒンドゥー教である。
ヒンドゥー教では、カーストという身分制度が厳格に適用され
バラモン(僧侶)やクシャトリア(王侯貴族)は良いものの
最下級のシュードラ(奴隷)、
更にはそれ以下の身分バリアの者は生きていくのに大変な時代で
多くのものが、今でいうホームレス状態であったと思われる。

そんな時代に、
チャプラというシュードラの少年が母と一緒に住んでいた。
チャプラが主人の命令で反物を届けようとしていた時、
タッタがチャプラから反物を奪い取った事から、二人の関係が始まる。
高価な反物を奪われたことから
チャプラの母は奴隷市に売られる事となってしまったが、
奴隷市へ向うその途中でタッタの助けを借り母を助け出す。
タッタには動物の心へのり移るという特技があり、トラにのり移り
用心棒たちを追っ払い、助け出したのだ。
今度はタッタに危機がおとずれる。
彼らが住んでいたシャカ国へ隣国のコーサラ国が攻めて来て
タッタが住んでいる部落を通り抜けようとしていた。
コーサラ国は強い、大勢の兵隊を引き連れ、
タッタ達が戻った時には部落は跡形も無く、親兄弟は殺されていた。

怒ったタッタはチャプラと共にコーサラ国の総大将ブダイ将軍を
討とうとする。
タッタが馬に乗り移り、それにまたがりチャプラが追い詰める。
が、もう一息で、というところでチャプラの気持が変わり、ブダイを助ける。
助けた代償として、シュードラから這い上がろうとしたのだ。
一計は成功、チャプラはブダイ将軍の息子として、成り上がっていく。
そして、コーサラ軍の総大将としてシャカ国へ攻め入ってくるのだが、
毒矢が当り 瀕死の状態になる。
それを、タッタ、チャプラの母親が救うのだが、
その際に チャプラの身分がばれてしまい、チャプラは追放
チャプラの母は死刑を宣告されるのだが。。。
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一方、シャカ国ではマーヤ夫人からシッダルタ(ブッダ)が生を受ける。
彼は幼い時から、世の中の仕組みに疑問を感じ、
「なぜ人は死ぬのか」
「同じ人間なのになぜ身分があるのか」などの疑問を常に抱えていた。
そして身分に関わらず分け隔てなく付き合い、ミゲーラという女盗賊とも仲良くなる。
だが、それが周りからは受け入れられず、
ミゲーラは目を焼かれて盲目にされて追放されてしまい、
彼の悩みはますます深まっていく。

随分古い記憶だが、原作のイメージと違っているような気がする。
もう少し思い出しながら、加筆していこう。

2011年、111分、東映、ワーナー・ブラザース配給
声のキャスト:
吉永小百合、堺雅人、観世清和、吉岡秀隆、
折笠愛、竹内順子、玄田哲章、水樹奈々、
櫻井孝宏、観世三郎太、黒谷友香
監督:森下孝三
原作:手塚治虫
脚本:安田玲子
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by asat_abc | 2011-05-29 21:28 | 映画_新作

ウッディアレンの 「人生万歳!」

監督:ウディ・アレン
出演者
主人公ボリス:ラリー・デビッド、
メロディー:エヴァン・レイチェル・ウッド、
メロディーの母マリエッタ:パトリシア・クラークソン
メロディーの恋人ランディ:ヘンリー・カヴィル
91分、2009年制作
アメリカ映画
アルバトロス・フィルム配給


主人公の物理学者であるボリスは昔ノーベル賞候補にのぼったほどの人物だったが、
今はしがないヤモメ暮らし、
数年前に自殺した際、今までの暮らしや妻との生活ともすべて決別し、
いまでは汚いアパートで一人暮らしをしている。
何が彼をそうさせたのか、
サラッと流されているが
永年人生というやつと付き合って来た人ならば、
その気持ちがわかるんではないでしょうか。
今では数人のけったいな友人達と
世の中について適当な批判を言い合いながら、
悠々自適に生活している。
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そんな彼の前に田舎から都会に憧れて家出して来た若いかわいぃ娘メロディーが現れる。
あれこれ邪険にするものの根が優しいボリスさん、
メロディーを部屋に住まわせてしまう。
だからといって年の差が石田純一と東尾理子どころか
新垣結衣ほどの差がある上、
石田純一というには程遠い角野卓三似のお顔では恋愛関係などにはなるまいと思っていたら
意に反して結婚にまで至ってしまう。
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彼には天才的に頭が良いという特技があった。
人を大きく上回る何か特技があれば、
新たな展望が拓かれるようだ、
ホンとかなぁ?
自分自身に自信を持てないメロディーにとって
ボリスは心の支えになっていたのだ。
だから、何か言った後、私の主人がそう言っていたんだもの、
などと心の中でつぶやく。

若い自分に自信が持てない、
でもかわいぃと自覚している女性の方々は
自分を磨くために数年間、中年の男性と過ごしてみるのは如何でしょうか
世の中は賢く思いやりのある女性が多くなり
優しく慈愛に満ちた母系社会なるのではないでしょうか(笑)

さて、この映画に更なる展開を開いてくれるのもメロディーの方、
それは彼女のお母さん、マリエッタ。
マリエッタはニューヨークまでメロディーを探しに来るのですが、
その動機の半分は自分の為で、
浮気している夫と決別する為でもあるのです。

彼女は突然メロディーの元を訪れます。
どうやって見つけたのなどと野暮なことを考えちゃぁいけません。
ある日突然二人の住む汚いアパートへ登場します。
そしていきなり卒倒してしまいます。
そりゃそうですよねぇ。かわいぃ娘が自分より年上の汚いオヤジと結婚して暮らしているなんて言われたら。
だが、このマリエッタお母さん、順応性が凄いのです。
ボリスの友達たちと仲良くなるや、
自分の才能に目覚めカメラマンの道を歩むばかりか
自由を極める為に自分の感性に任せた
奔放な生き方へ突き進んで行くのです。
ついこの前までは夫の支配下にあった貞淑な妻だったのに、
今や男性二人と同衾する女へと
自由に目覚めてしまうのです。
続いて奥さんを追ってきたマリエッタの旦那さん、
妻の豹変ぶりについていけませんが
意気消沈したバーで男性に慰められ、
自分の眠っていた感覚、同性愛に目覚めてしまいます。
こころの中に眠っていた本能が露わになっていき
つまらなかった日常が輝いた日々に変わってゆく人もあれば、
その逆の方向にいく場合もあります。
歳の差の結婚はやはり自然の摂理にはハズレています。
ボリスとメロディーの結婚生活に破局がきます。
メロディーの方が歳相応な自然な恋愛をしたからです。
ボリスとしては覚悟が出来ていたことですから
すんなり受け入れるのですが、
メロディーへの愛情という厄介な気持ちの整理がつかずに、
再びビルからの飛び降り自殺を図るのですが、
偶然ぶつかってしまった女性と運命の出会いをして、
めでたしめでたしです。

ウッディさん、
ちゃんとしめっくくりは明るくなるように
考えてくれていますが、本当の世の中はもっとシビアですよねぇ。
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コメディタッチで薄口仕上げの映画ですが、
色んなエッセンスが仕掛けられていて
噛むほどに味が出てくる映画でした。
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by asat_abc | 2011-05-28 13:37 | 映画_新作

「ブラックスワン」、ナタリー・ポートマンが神格化される

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主人公ニナの心理状態をスリラー仕立てで表現した
後年ナタリー・ポートマンの代表作に冠せられるだろう映画。

出演者
主人公ニナ:ナタリー・ポートマン
バレー団監督、トマス:ヴァンサン・カッセル
バレーのライバル、リリー:ミラ・クニス、
ニナの母:バーバラ・ハーシー

監督のダーレン・アロノフスキーは「レスラー」の監督で、
「ザ・ファイター」では製作総指揮をした。
108分、2010年製作
アメリカ映画

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清純派プリマがようやく手に入れた主役は妖しいまでに奔放なブラックスワンをも演じなければならない役柄で、
従来の白鳥の湖のイメージを大きく変える、白鳥と黒鳥を演じ分ける一人二役。清純な白鳥は文句なしの出来映えなのだが、















奔放でふしだらだこそ魅惑的な黒鳥はぎこちない。これを演出監督のトマスは鋭く責め立てる。トマスはニナの内側に眠っている激しいパッションを感じ取り、呼び覚まさせようと躍起なのだ。
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c0146834_044987.jpgそのためにはニナに対してセクハラまがいの事までする。だが、ニナは奔放な自分自身を覚醒出来ず、ますますもたついて悩みこんでしまう。ニナは厳格な母親に女手ひとつで育てられ、母親の枠の中で大切に育てられていた女性、いわば無菌病室で育った健全すぎるおこちゃまで、精神的には幼い。



劇団のライバル、リリーは奔放であけすけで黒鳥を踊らせたら魅惑的だ。
それを知ってか知らずかトマスはいざという場合の代役にリリーをたてる。
だから、ニナはリリーの事が気が気でない。
その彼女がニナに近付いてくる。
リリーの目的はどこにあるのか?
ニナ自身には持っていないリリーの魅力を確認する為、
リリーの誘いにのって 一緒に夜の街へニナはくり出して、
必死に自分の殻を破ろうとする。
だがもがけばもがくほど、
幻覚はヒドくなっていき、母親との亀裂と深刻化する。


公演開幕の日まで秒読み段階、
ニナの精神は緊張を突き抜け壊れ始め、
とうとう現実と幻覚の区別もつかなくなってくる。
そんな精神状態で迎えた公開初日、
ニナは心配する母親を振り切り 会場に赴き、
自分自身との血戦を挑む、
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さて、ニナに勝利の女神は微笑むのだろうか。





ナタリー・ポートマンが渾身の演技を魅せる。
ハーバード大学出身の才媛で清純派代表格の彼女も もう30歳になる。
演技派を志向する彼女のスクリーンデビューは、
あの名作「レオン」でのマチルダ役だ。
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その後「スター・ウォーズ」のアミダラ女王を経て、
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「ブーリン家の姉妹」ではヘンリー八世の寵愛を受けるアン・ブーリンを演じ、
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そして本作で女優としての最高峰であるアカデミー賞最優秀女優賞を受賞した。

彼女の演技に対する姿勢が開花し始めたのは
「宮廷画家ゴヤは見た」あたりからだと思う。
最近では珍しい露出控えめな女優が、
後ろ姿とはいえ半ケツ状態を曝した演技は迫力があったし、
ハビエル・バルデム演ずる神父の罠に嵌って牢に閉じ込められた上
子供を身ごもらせられ、一途に信じ込みすがりつく姿は
胸を撃つものがあった。
彼女のイメージはどちらかといえば
Sタイプの女性、アン・ブーリンのように激しい女性の方が似合うイメージだが、
「ブラックスワン」では耐える、Mタイプの女性を演じていた。
本人の性格とはきっと真逆の
おどおどして自分自身に自信を持ちきれない精神的に弱い人の役だ。
見ているこちらの方まで大丈夫かと庇いたくならせる程だ。



ここに21世紀を代表する女優が名実ともに誕生したといえるだろう。
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by asat_abc | 2011-05-25 22:49 | 映画_新作

「阪急電車 片道15分の奇跡」、幸せな気分になれます

「フリーター、家を買う」などの作家有川浩原作のハートフルなヒューマンドラマ
出演者
アラサーOL高瀬翔子:中谷美紀
恋人のDVに悩む女子大生森岡ミサ:戸田恵梨香
乱暴を振るう恋人カツヤ:小柳友
老婦人萩原時江:宮本信子
その孫萩原亜美:芦田愛菜
女子高生門田悦子:有田架純
年上の恋人遠山竜太:玉山鉄二
田舎から出て来た女子大生権田原美帆:谷村美月
軍事お宅の大学生小坂圭一:勝地涼
小学生樋口翔子:高須瑠香

監督は三宅喜重、「グッドライフ」などTV中心に活動。
119分、2011年制作
東宝映画
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片道15分の阪急電車沿線に住む人達で繰り広げられるコメディタッチの群像劇。

出だしから笑わせてくれる、いやシリアスな場面なので笑ってはいけない。
中谷美紀演じるOLさん、恋人に別れてくれと言われている、
その恋人の横には安めぐみ演じる後輩OLがいる。
彼が言うには、後輩OLは弱々しくって守ってあげないといけない。
その上、身ごもっているというのだ。

高瀬翔子(中谷OL)から見れば、
もともと協調性がない上仕事にも熱の入らない、腰掛けOL、
その上身ごもるように仕向けたしたたかな女だ。
男どもの評価は違う。
翔子は活発で男がいなくてもバリバリやっていける強い女性、
一方の安OLはしとやかで内気で直ぐ泣いてしまいそうなか弱い女性
でも本当はポキッと折れてしまうのは中翔子のほう。
柳のように風になびきながらしたたかにたくましい女に男は騙されてしまう。

カンカンの翔子さん、
気持ちをようやく抑えて彼等にある条件を飲ませることで
この場を収めることにした。
その条件とは、2人の結婚式に呼ぶこと。


宮本信子さんと芦田愛菜ちゃんのおばあさんと孫のコンビが電車に乗ると、
翔子さんがまさにウェディングドレスを着て佇んでいる。
小脇には引き出物の袋をもって。

時江(宮本)おばあさんの方はだいたいの事は察しがついているのですが、
亜美(愛菜)ちゃん、わからないものだから
ついおばあちゃんに嬉しそうに話します。
お嫁さんがいると。

孫をたしなめつつ
翔子さんに話しかける時江さん。
余計なお節介かも知れないけど
話してしまえば気持ちが落ち着く事もあるのよ
良かったらお話しなさいとすすめます。

翔子さん、その心のこもった言葉に感極まり
涙ながらに切々と今までの経緯と今日の出来事を話します。

恋人にあなたは間違った選択をしたということを
一生後悔させるためにこんな事をしたのだと。

取り乱すことなく精一杯やった彼女の行動に
時江おばあさん、
エールを送ると共に今後の身の振り方を
諭すように教えてあげる。
落着いたら、会社はお辞めなさい、自分の為に、と。

この電車には
まだまだ世の中捨てたもんじゃないよと
思わせる出会いがあると語っているようだ。
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他にも
戸田恵梨香演じるダメダメ女子大生の森岡ミサさんが、
見かけ倒しの身勝手な男カツヤの云うがままになってしまっていたのを
時江おばあさんの一言がきっかけとなって
何とか別れようとしますが、
別れようとすると今度はカツヤの方がまとわりついてきてしまいます。
そこで親友と、空手が有段者の彼女の兄に救ってもらいます。
親友が今後まとわりつかれないように、携帯をポキッと折ったときには
胸がすく、爽快な気分になります。

更に、
谷村美月と勝地涼による
田舎から出て来たばかりの二人の不器用で、
でも爽やかなラブラブ物語やら

かなり年上の社会人と付き合っている女子高生の悩みが解消されるまでの話しやらが
登場人物達の善の連鎖で気持ちが和らいでゆくストーリーです。

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実社会でもそう有って欲しいと思うのですが、

生産性とか
コスト削減とか
成果主義とか
偏差値とかが、
声高に叫ばれる世の中では
なかなか思うように行きません。

でも、今日お年寄りに席を譲りました。
小さな事でもこつこつと幸せの循環を始めましょう!
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by asat_abc | 2011-05-22 20:43 | 映画_新作

「これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫」

ギャグ漫画の王様、赤塚不二夫の人生を映画化
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出演者
赤塚不二夫:浅野忠信
新人編集者武田:堀北真希
赤塚の母:いしだあゆみ
赤塚の妻:木村多江
佐藤英明監督
110分
2011年制作
東映映画

赤塚不二夫の編集者をしていた武居俊樹氏の回想記をベースに、
その編集者を女性に替えて作った作品。
ハチャメチャなテーストだけに、
赤塚の相手が女性では実態がかなり押さえられてしまい、
お上品になってしまったのでは、
でもあれ以上だったらどうなっていたのだろうかなどと考えてしまった。
赤塚不二夫ファンにとっては、
おそ松くん、天才バカボン、もうれつア太郎など
懐かしい漫画が出てきてとても楽しめるのでは、と思う。
赤塚作品で面白いのは、主役より脇役の方が活躍する点。
目立った人物が登場してくるようになる。
おそ松くんでは、
シェ〜のイヤミや
いつもおでんを持ってるチビ太
天才バカボンでは、
月並みだがバカボンの父、それに直ぐ銃を撃つ警察官。
もーれつア太郎では、
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いじけ猫のニャロメや
ケムンバスなどなど、
脇役のはずの登場人物達が主役を喰って活躍する。


映画自体のストーリーは
新人編集者の武田が赤塚の担当になったばっかりに、
知恵だし会なるギャグのように飲み会に参加させられ悪戦苦闘しながらも
彼の栄枯盛衰に付き合い本当の理解者になっていき
彼の漫画の底流にある本質を見極めていく事により
観客に教えてくれる形態を取る。

赤塚作品のベースにあるのは
人のやらないことをやる、だから主人公と同じ人間を一度に6人も作ったおそ松くんのように
常に斬新なギャグを追求する点と
マンガをチームで制作するところだ。
彼の周りには人が集まる、それは人を大切にするからだ。
それは一人では出来ないことを仲間と一緒なら出来る事を知っているからだ。


前半の少年サンデーやマガジンの子供向けのトーンからすれば、
後半のレッツラゴンは明らかに大人向けになってしまい、
少年誌ではウケなくなってしまったか、斬新なマンガだった。
だだ、それと同時に品位の方も大人級になってしまい、
浅野が全裸で出ずっばりだったのは、
テイストにあわなかったが、
バカバカしい事を真面目にやるという赤塚哲学を実践するためには必要な事だったのだろうか。

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赤塚不二夫ファンの為の映画なのだ!
タリラリラ~ン
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by asat_abc | 2011-05-20 21:22 | 映画_新作

「八日目の蝉」、井上真央と永作博美の宿命

直木賞作家、角田光代原作の母性をテーマにしたヒューマンサスペンスドラマ
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野々宮希和子/宮田京子:
永作博美
秋山恵理菜/宮田薫:
井上真央
安藤千草:
小池栄子
秋山丈博:
田中哲司
秋山恵津子:
森口瑶子
沢田久美:
市川実和子
エンゼル:
余貴美子
恋人の岸田:劇団ひとり

監督は成島出、「孤高のメス」がある。147分、2011年制作、東宝映画



本当の母よりもっと素敵な女性を母と信じたばっかりに、
母性を感じれなくなった女性が自分の生い立ちと向き合うことによって、
閉ざされていた自分の母性を解き放つまでのヒューマンドラマだ、
と思った。


野々宮希和子は堕胎する。。
産みたかったのだが、恋愛の相手、秋山には妻がいる。
将来の約束を匂わす秋山の説得によって泣く泣く子供をあきらめたというのに、
秋山の妻は、子供を産んだのだ。
雨の日、脱力感を感じながら秋山の家の前をさまよっていると
夫婦は子供をおいて車で出掛ける。
無意識に秋山の家に押し入ると子供の泣き声がする。
子供のところへ行き思わず抱き抱えると、純真無垢な笑顔がかえってくる。
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その瞬間、赤ん坊は希和子の子、薫になったと思えたのだ。
希和子は薫を抱え、知り合いのところを転々とする。
ようやく、沢田久美を介し、、エンゼルホームに転がり込む。
教祖のエンゼルが作った、
女だけが住む駆け込み寺のようなところだ。
だがそこにも別件で警察の手がのびてきて、
沢田久美の実家のある、小豆島へ落ち延びる。
そこで、薫との幸せな毎日を送っていくのだが。。。
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このドラマはNHKでも壇れい、北乃きいのキャスティングで放映された。
そのときは、都合の良い時、すこしだけ見ただけだが、
壇れいほどの器量の持ち主ならば目立ってしまい
直ぐに見つかってしまうだろうに、などと思ったのを覚えている。
そして、映画にしてくれれば良いのにと思ったのを記憶している。

映画では永作博美が希和子を演じ、
秋山の妻 森口瑶子とのコントラストが秀逸で
薫が心を閉ざした女になった理由が良くわかった。
永作が上手いのは言葉より観てもらった方が良いのでここでは語らない。
永作の薄幸そうな顔立ちと我が強くワガママそうな森口の顔立ち、
子供に全てをかける希和子に対し、
ブライトを全面に押し出し自己主張する秋山の妻、
薫が母の恵津子に
「お星様の歌うたって」、というと
きらきら光る。。。と歌う、
薫が「この歌じゃない」、と控えめに言うと
恵津子は考え、違う歌を歌う。
「それも違う」というと、突然感情を高ぶらせて激高する恵津子。
森口さん、上手い!

もっと絶賛したいシーンが あった。
恵理菜が子供を産む為の資金を秋山家へ借りに行ったシーンだ。
感情の高ぶりを娘にぶつけつつ、
どうしても我が子へ愛情を注げなかった、
どうしても娘の影に希和子を見てしまう自分に対して
慟哭するシーンだ。
森口さん、これからはこの路線だ!
イジメ役、敵役がぴったりだ!

主人公が引き立つには良い敵役が必要だ。
その敵役を見事に演じてきっていた。


薫が希和子との関係を見直すキッカケを作った千草役は小池栄子だ。
画面に出て来た時、変な違和感を感じた。姿勢が変なのだ。
良くある演技過剰かな?と思ったが、徐々に千草の正体が明らかにされ
なるほど、だから社会へ適合出来ず、不自然なんだ、なるほどと納得した。
小池栄子さん、もう立派な女優さんですねと
感心させられてしまった。

物語の原因を作った秋山丈博役だが、
この映画では目立ち過ぎてはいけない。
陰の薄い人が似合うので田中哲司になったのだろうが、
森口瑶子演じる美人の妻ばかりか、
希和子までたらし込む器量が伝わって来なかったのは、残念だ。



映画は
馴染めない両親の元から飛び出し、一人暮らしを始めた井上真央演じる恵理菜のところへ
フリーのライターをしている千草が現れたことにより
現在の恵理菜と過去の薫とを行き来しながら進んで行く。
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現在の恵理菜は愛するという感情を持てず、自分の方から積極的にアプローチ出来ず、
自分の事を好きだと近寄ってきた岸田とズルズル関係を続けていた。
だが、岸田は妻子持ちで、不倫だ。
そんな関係に悩んでいた時に千草が現れる。
そして、自分を誘拐したものの愛情深く育ててくれた宮田京子を回想する。
京子は東京から西へ逃げ延びエンゼルホームを経由して小豆島へたどり着く。
エンゼルホームを脱出する際、山道の暗闇をこわがった薫を勇気付けて
歌ったのが、この歌だ。

見上げてごらん 夜の星を
 小さな星の 小さな光りが
 ささやかな幸せを うたってる

 見上げてごらん 夜の星を
 ぼくらのように 名もない星が
 ささやかな幸せを 祈ってる

 手をつなごう ぼくと
 追いかけよう 夢を
 二人なら 苦しくなんかないさ

 見上げてごらん 夜の星を
 小さな星の 小さな光りが
 ささやかな幸せを うたってる

 見上げてごらん 夜の星を
 ぼくらのように 名もない星が
 ささやかな幸せを 祈ってる

薫は瞬間的に、この歌が大好きになったのだろう。

たどり着いた小豆島、そこでの生活が薫にとっても最良の幸せだったのだ。
その事を思い出した時に恵理菜と薫とが一体化し、
お腹の子に猛烈な母性を感じ始める。



深く深く心に染みる、今年一番の邦画の予感を感じました。
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by asat_abc | 2011-05-18 22:37 | 映画_新作

「ゲンスブールと女たち」、フランスのモテ男

出演者
主人公セルジュ・ゲンスブール:エリック・エルモスニーノ
ジェーン・バーキン:ルーシー・ゴードン
ブリジット・バルドー:レティシア・カスタ、
ジュリエット・グレコ:アナ・ムグラリス、
フランス・ギャル:ミレーヌ・ジャンバノア

監督はジョアン・スファール、初の長編作品。
122分、2010年制作
フランス映画

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ジェーン・バーキン、
ブリジット・バルドー、
エディット・ピアフ、
カトリーヌ・ドヌーヴ、
フランス・ギャル、
ジュリエット・グレコなどなど、
美しい女たちと音楽に愛された異端児セルジュ・ゲンスブールの人生をたどる、
という謳い文句の映画だ。

歌の好きな人なら垂涎ものでしょうが、
少しばかり前の世代の著名人さん達なので、
記憶を呼び覚まさないとお顔が浮かびません。
ある意味この映画はゴシップネタですから、
これぐらい時間が経たないと作れないんでしょうね。
ゲンスブールってこんなにスキャンダラスだったんだと
流れてくる歌と一緒に楽しんで観ることが出来ました。

セルジュ・ゲンスブールは、ユダヤ系フランス人で、
作曲家、作詞家、歌手、映画監督、俳優、画家と
マルチな芸術家である。
シャルロット・ゲンスブールはジェーン・バーキンとの間にもうけた子である。

ゲンスブールは幼い頃から凄いコンプレックスを持っていたようだ。
画家を目指していた時期もあったぐらいだから、
美に対する思いが一般の人よりはるかに高かったのだろう。
だから自分が美男子で無かったことが許せなかったんだろう。
映画での登場人物も、実際の顔写真も味のある魅力的な面構えだと思ったが。
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セルジュ・ゲンスブールを演じたのはエリック・エルモスニーノ 47歳
かなり似ている。



感性で観るタイプの映画だから、どうしても感想が先走ってしまう。
ゲンスブール少年の遊び相手はコンプレックスという自分の分身、
その姿を象に擬したぬいぐるみで登場させてストーリーを進めていく。
当然本人にしか見えない。
両親はミュージック・バーを営んでいて、
小さな時から音楽に馴染むべくして馴染んでいったが、絵を描くのも好きだったようだ。
絵画教室で子供の課題である果物そっちのけで、ヌードモデルをチラ見し、
挙げ句の果てにモデルが戻ってくるのを部屋で待ち、ヌードモデルの依頼をする辺りは、
流石フランス人である。
彼が世に出たのは二十代後半、ピアノ弾きとして才能を買われ、
その後作曲者として有名になる。
彼が作曲したフランス・ギャルの歌が爆発的にヒットすると、
様々な人から曲の依頼を受けるようになり、
元々の才能が一気に開花する。
そうなると才能好きの女たちが彼の周りに寄ってきて、
瞬く間に浮き名を流すようになる。
そうなると世の常で、タバコと酒にも溺れ始めて健全な生活が営めなくなり、
というような話しがシャンソン音楽と供に進められる。



この映画で紹介された、彼と結婚したり、浮き名を流した話題の歌手や女優は
ジェーン・バーキン
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演じたのはルーシー・ゴードン
この撮影のあと自殺してしまいました。

ブリジット・バルドー
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演じたのはレティシア・カスタ
股下が身長の半分以上あるモデル体型


ジュリエット・グレコ
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フランス・ギャル
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そして最後に30歳年下のモデルのバンブーと同棲し、子供をもうけている。



繊細なセルジュ・ゲンスブールは、
人を押し退けてでも勝ち取るという毒々しさが必要な世界で、
ロリータとかナチとか、毒づきながら 人を惹きつける魅力を持ちつづけた芸術家だ。

そういう毒々しい世界で長年生活した人の深層心理を感覚的に楽しみましょう。
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by asat_abc | 2011-05-14 21:18 | 映画_新作

「UNKOWN」、ひと捻りある結末

出演者
マーティン・ハリス:リーアム・ニーソン
タクシードライバー、ジーナ:ダイアン・クルーガー
マーティンの妻リズ:ジャニュアリー・ジョーンズ
ジャウム・コレット=セラ監督、今までの代表作は「エスター」
125分、2011年制作
映画

セラ監督の「エスター」のオチには恐れ入りましたっていう感じだったけど、
本作でもこういうオチがあるのか、と感心させられてしまった。
でも反面、疑問も湧き上がってきちゃいました。今まで悪人だった人が、善人になることが出来るのか、なんてね。

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アメリカからドイツの空港に降り立つと、雪の舞う空模様、
マーティン博士と妻リズは
ホテルへと急ぐ。
急ぎ過ぎたマーティン博士、
アタッシュケースを一つタクシーに積み忘れちゃいます。
ホテルに着いて、タクシーから荷物を取り出す時に、
アタッシュケースが一個足りないことに気付き、
リズにもその事を告げないほど慌てて
彼は空港に引き返すします。
乗り込んだのはジーナが運転するタクシー。
ところがそのタクシー、無謀運転の車の巻き添えを喰らい、川に転落、
マーティンはあわや絶命の危機。
ジーナの機転によって一命を取り留めたものの、
気付いた時は4日後病院のベットの中だったのです。
気付いた彼が覚えている事といえば、観客席の我々とほとんど一緒の事。
植物学会で妻と一緒にドイツにやって来たこと。
きっと最愛の妻が心配しているだろうと、
彼は直ぐにホテルへ行き会おうとするのですが、悲しい現実に直面します。
ホテルではパーティーが開かれていて、奥さん、艶やかな姿をしています。
彼は直ぐ妻を見つけだし、彼女の元に駆け寄るのですが、
彼女は、自分の事を知らないと言い張るし、
その上、自分の夫マーティン博士まで紹介する有様。
誰も彼の言葉を信じてくれません。
事故のせいで自分の頭がおかしくなってしまったのだとすれば、
それでは自分は一体誰なのか?
途方に暮れるマーティンは病院に再び収容されてしまいます。


彼を助けてくれるのは、病院の看護婦から教えてもらった元秘密警察の老紳士と
事故の時運転していたタクシードライバーのジーナです。
彼がマーティンであることを証明してくれるのも2人、
アメリカの大学で懇意にしている教授と、
ドイツには電話で研究の事でやりとりした教授ががいる。
ところが
アメリカの教授は電話をしても不在、
頼みのドイツの教授のところへでは、
ニセのマーティンが先回りしていて埒があかない。

元秘密警察の老紳士と一緒に状況分析してみると
植物学会にアラブの王子が参加する事がカギを握っているのではということに。


こんな感じでハイピッチで問題編を我々観客に提示してゆきます。
そもそもマーティンは本当にマーティンなのか?
という疑問は彼が見知らぬ敵に命を狙われる展開から、
疑問の余地はないことと思わせられるのですが、。。。。
さぁ、これからが解決編になります。

鍵を握る人物が登場する、マーティンのアメリカでの同僚教授だ。
彼がドイツへやってきてから話は大きく進展する。
空港に忘れていたトランクケースをようやく手に入れたマーティンを
同僚教授らは連れ去り暗殺しようとするのだ。
マーティンが仲間だと思っていた者達が実は敵だったのです。
この場はジーナの機転によって何とか助かるのですが、
余りのショックに茫然自失のマーティン。
だが、同時にぼんやりと記憶が復活し始めるのです。
そして、物語はクライマックスへ突入、学会へアラブの王子のやって来る
その会場にマーティンは乗り込みます。

さぁ、ここからは、流石に公開されたばかりなので、1ヶ月後に追記します。

セラ監督はサスペンス映画で意外な結末、ショッキングなオチをちゃんと用意してくれるので、
今後も注目の監督です。
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by asat_abc | 2011-05-11 09:08 | 映画_新作

「戦火のナージャ」、親子は再会できるのか

監督:ニキータ・ミハルコフ、
彼の一族は芸術家のようで親族にロシア国歌を作った人がいるらしい。
監督兼俳優。
出演者
主人公コトフ元大佐:ニキータ・ミハルコフ
コトフの娘ナージャ:ナージャ・ミハルコフ
コトフの追跡をするドミートリ大佐:オレグ・メンシコフ

150分、2010年制作
ロシア映画
ツイン配給

コトフ大佐とその娘ナージャの物語「太陽に灼かれて」の第2章。
死んだと思われていたコトフ大佐は生きていた。
コトフ大佐は以前お菓子のパッケージに載っていた程の英雄だった。
それが、スターリンの台頭によって政治犯にされ強制労働をさせられ、
命まで危うくなっていた。
だが、敵方の将校を捕虜にしたことによりコトフの罪は横領罪に格下げさせ、
彼は生き延びていたのだ。

その後 彼と娘ナージャに降りかかった出来事を交互に描き、
戦争の悲惨さを叩きつける思いで描き出している。

エピソード1、ナージャ
ナージャは声楽隊の一員として赤十字の船に乗っていた。
その船を執拗に挑発するドイツ軍の飛行機。
ギリギリのところまで低空飛行してくる。
更には信じられないことに、お尻を突き出しウンチ攻撃をしようとする
パイロットの助手がいる有様。
たまらず船に乗っていた一人の男が発砲してしまい、ウンチ男に命中、
即死させる。
怒ったドイツ軍は赤十字の船であることなどお構いなしに一斉攻撃、
船から落ちて海に漂う人達にも容赦しない。
ドイツ軍は攻撃してしまった以上証拠が残らないように
皆殺しにしようとしているのだ。
絶体絶命というその時、もやがかかってきて、
ナージャら数名はなんとか難を逃れた。
ナージャと牧師は機雷に捕まり何とか漂っている。
牧師は足を負傷していて助からない事を自覚している。
人生最後の行いとしてナージャを洗礼、彼女はクリスチャンとなる。
牧師はナージャの目をつぶらせ
機雷から手を放し、海のまにまに消えてゆく。

機雷にしがみつきながら一人海をさ迷うナージャの目に船が見えた。
必死に助けを呼ぶ彼女の思いも虚しく通り過ぎてゆくソビエト船。
関わりを持ちたくなかったのだろう。
運良く彼女は陸地にたどり着き、
自分を陸地に導いてくれた機雷に別れを告げる。
その機雷が、
ナージャを助けなかった船にぶつかり船が爆破してしまうシーンはご愛嬌か,


エピソード2、コトフ大佐
ドイツがソビエト領に押し入り、
コトフが強制労働させられている収容者達が移動することになる。
彼は丁度その時に政治犯から横領罪に変更された。
移動する前に政治犯達だけは小屋に入れられる。
政治犯だけはこの場で処分して残りの者だけを移動させるのだ。
移動の為の護衛係としてやって来た赤軍に
小屋に入れられた政治犯達は一斉射撃される。
それと同時ぐらいに今度は赤軍自体が
上空からドイツ軍の飛行機に攻撃される。
その隙にコトフは逃げ出す。
コトフが逃げ出すころ、ロシアの至る所で赤軍と一般兵達が衝突、
ソビエト国内は混乱の坩堝(るつぼ)、
統率が取れていないことが暴き出される。


この辺までは生々しい殺戮シーンは少なく画面を正視出来ていたが、
案の定だんだん見るに耐えない場面が写し出されるようになる。
といって、無用に残虐なシーンやグロテスクなシーンを描いているのではない。
必然性があり、
だからこそ戦時中としては普通に行われていた行為を映し出しているのだ。


前作はアカデミー賞外国語作品賞に輝いた
「太陽に灼かれて」という1990年代の作品。
前回同様ナージャは実の娘が演じる。
幼稚園児程だった彼女はもうすっかり大人の女性だ。
だからこそ、あわや強姦されそうにもなるし、
最後の母性を感じさせるシーンを演じることも出来る。

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エピソード3、ナージャ
ドイツ軍がある村に入ってくる。
若者中心で編成されている部隊だ。
そこを通りかかるジプシーの一団、
その一団をドイツ軍のひとりが突然機関銃で撃ちまくる。
ジプシーの一団でただ一人、幼い少女だけが残される。
少女は手を合わせ命乞いをする。
この機関銃乱射に関してドイツ人達の間でも意見の衝突が起きるが、
お咎めは無い。
ジプシーじゃないかなどと捨てぜりふをはきながら乱射した青年は
ふてくされたように村を散策し始めると、そこへひょっこりナージャが姿を現わす。
男はにやつき、彼女は危険を察知し逃げる。
逃げながら、いえ家の戸を叩き、かくまってくれと頼むが、扉は開かない。
ようやく家畜小屋を見つけその中に逃げ込む。
男はしばらくぼぉっとしていたが、
何かを決めて行動に出始める。
彼女の後を追い、家畜小屋に入って行ったのを見つけ自分も入っていく。
暫くして乱射した青年を詰った同僚が家畜小屋で乱射青年の遺体を発見する。
蜂の巣をつついたように慌てふためくドイツ軍兵士達。
ひとっこ一人いない雰囲気だったが、予想以上にたくさんの村人達が集められ、
殺害した者は名乗り出るように言われるが誰も名乗り出ない。
それもその筈、殺害した者は高台からその光景をナージャと共に眺めている。
すると小屋の中に村人は閉じ込められる。
さっき生き残ったジプシーの幼い少女まで
ほおりこまれる。
その後小屋に何かまかれたと思ったら
急に小屋は炎につつまれる。
ガソリンがまかれていたのだ。
小屋の中からは悲鳴が。。。。。
高台からナージャはその光景を見て、
彼女を助けてくれた女性と忸怩(じくじ)たる気持ちで嘆き悲しむ事しか出来ない。

エピソード4、コトフ大佐
コトフ大佐はドイツ軍との最前線で一兵卒として戦っていた。
指揮を取っているのは古参の中尉。
そこへ学卒のエリート将校達が赴任してくる。
彼等を指揮している若者は、古参の中尉に自分の指揮に入れと言うが、
中尉は彼等をからかい逆に自分の指揮に入れてしまう。
実践体験がものをいう戦場は、
エリート将校達の机上の学問ではやっていけないのだ。
そのやり取りををじっと見守るコトフ。
彼らの一隊は武器など殆ど無い状態でドイツ軍を迎え撃とうとしているだけに
一つ判断を誤っただけで死活問題になってしまうのだ。
戦端が開かれると固唾をのんで待ちかまえていると、
後方から戦車の音が聞こえてくる。
味方の援護隊がやってきたと喜んだのも束の間、それは敵の戦車隊だった。
圧倒的な武器の差で蹂躙されていくソビエト軍。
戦闘が終わり、約200名いた仲間は十名足らずに。
中尉も生き残っていたが深傷を負っている。
手当てを部下がしようと腹の辺りをめくると内蔵がとびだしている。
コトフに水を飲みたいという中尉。
コトフは自分の水筒を差し出す。
もっと飲みたい、探してきてくれと頼まれ、中尉から離れ探していると、銃弾の音が。
中尉は死期を悟り、自らの手で命を断ったのだ。

凄い迫力で画面に引き込まれてしまう。
リアリズムで戦争の悲惨さを暴き立てていく。
観ている方に考える暇を与えてくれない。
だから、直感的に感じるしかない、戦争とは一体どういう事なのかを。


エピソード5、ナージャ
この映画の最後を飾るのは看護婦になったナージャの出来事。
彼女は戦いが終わった戦場で、負傷者の介護をしている。
負傷者はまだ若いというのに砲弾を受け、
顔にケロイドが出来た為、年齢の判断など出来ない。
ナージャが、
手当てをすれば大丈夫よ、おじさん
などと言うものだから、逆に自分の状態を知り、死期を悟ってしまう。
すると若者はナージャに懇願する、おっぱいを見せてくれと。
まだ恋愛をしたこともなく、女性の裸をまだ見たこともないのだ。
そんな若者が戦場に駆り出され
命を落としていく不条理な戦い。
ナージャは若者の望みを叶えてあげる為に服を脱いでいく。
カメラはナージャの背後からそのシーンを写し出す。
これぞ、戦火のナージャだ!

ここでエンドロールが入る。
結局、ナージャが父に会えたのかは明かされてる事はない。
だが、これほどまでにお互いに会おうとしている姿を観ていると、
いつの日かきっと会える事を望まざるを得ない。
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by asat_abc | 2011-05-08 19:10 | 映画_新作

「まほろ駅前多田便利軒」、瑛太と龍平

出演者
主人公多田:瑛太
友人行天:松田龍平
謎のコロンビア人ルル:片岡礼子
その友人:鈴木杏
ルルの彼氏しんちゃん:松尾スズキ
しんちゃんの商売仇ほしさん:高良健吾
監督は大森立嗣、主な作品はケンタとジュンとカヨちゃんの国
123分、2011年制作
アスミックエース配給

クスッと笑えなかなか味の映画、原作の面白さやユーモアがしっかりと生かされている。

過去を引きずって生きている30代半ばの多田はまほろ(モデルは町田市)という駅前で便利屋を営んでいる。
ある時ふらっと多田の前に小学校以来になる行天(ぎょうてん)が姿を現す。
行天に対し、友人というには悲しい借りが多田の方にあった。
木工作業中に誤って行天の小指を切断させてしまったのだ。
指はちゃんと今はくっついているが、
わざと悲しげに
あなたがかんだ小指が痛い〜♪
などと歌うものだから
多田としては無碍に出来なくなってしまう。
結果、行天は多田の住処に転がり込む。


便利屋にやってくるのは風変わりな者ばかりだ。
犬を預けっばなしで引っ越しする母親。
飼えなくなったからといって、便利屋に預ける事はないだろうに。

犬を貰いに来る自称コロンビア人。
ブラジル人でも良いのに、何故コロンビア人なのかも不思議だが、
それよりもどう見ても日本人だ!

子供の塾帰りの迎えと送り届け。
がきは可愛げがないし、小学生だというのにスゴいヤバいアルバイトをしている。

どれもこれも面倒なくせに金にはならない事件ばかりだ。


瑛太演じる多田と龍平演じる行天が醸し出す独特の雰囲気と間(ま)は
どちらかと言えば行天の世界を浮かび上がらせるのに効果的だ。
多田を瑛太が演じることにより、多田も訳あり人間だが、良い人、で
ある事が一目瞭然となる。
一方、行天を松田龍平が演じる事により、
何か起こしてしまっているのではないかと不安を抱かせられる。
そのイメージ通りにストーリーは進められたり、
はぐらせられたりしながら進んでいく。
観ていて飽きない面白さだ。
きっと文系人間にはわかってもらえる感覚だろう。



約束の日時になっても預けられた犬を引き取りに来ない
依頼人の家へ押し掛けると
家はもぬけのから、
近所の人達からの情報でその依頼人を捜し当てるが、
犬を飼えそうじゃないアパートだ。
犬との別れを言えなかった依頼人の娘に犬を会わせてあげて、
事情を理解させる二人。
行きがかり上、犬を飼う羽目になってしまった多田を見かねて、
行天は飼い主を募集すると
やってきたのは、如何にも水商売やってます
と言わんばかりの自称コロンビア人の女だ。
流石に危険を感じた多田は一度は断ったものの、
行天の、
(犬が)何かを与える事が出来る人に飼ってもらうのが
一番良いというニュアンスの言葉に刺激を受け、彼女に託した。
犬を通して彼女及び同居人の女友達と知り合った二人は、
やがてとんでもない事件に巻き込まれる事になる。
女友達にはストーカーが付きまとっていて、
行天は行きがかり上、彼女を助けるのだが、
今度は行天の方が逆恨みされて、追われる羽目になる。

この事件と前後して、
多田は行天の元妻に会い彼との出会いから
彼が元妻の精子提供者になってくれた経緯を聞かされる、
元妻には生活を共にする同性の愛人がおり、
それにもかかわらず彼女の願いを聞いてくれていたのだ。

その後、事務所兼住居に戻ると ストーカー男のボスが来ていて、
行天が付け狙われていることを知らされる。
必死に行天を探すがものの、彼を発見したときには、既に刺された後だった。


幸い彼の傷は浅く、1ヶ月後には退院することが出来、
お互いの事を良く知るきっかけになったものの、
逆にお互いに触れずにいた部分に踏み込んでしまうことにもなってしまい、
行天を事務所兼住居から追い出してしまった。

またそれから数ヶ月がたち、
彼がいなくなった空虚感を抱えていた多田の前に行天は姿を現した。
今度は無二の親友として。

多田と行天の心の闇の問題をまだ深堀していないし、
便利屋稼業には面白い事件がつきものだ。
きっと続編を引っさげて帰って来てくれるだろう。


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by asat_abc | 2011-05-05 05:43 | 映画_新作