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「脳内ニューヨーク」は人生を語る

先ず言っておきたいのは、この作品は観客を選ぶということです。チャーリー・カウフマンの初監督作品で製作はスパイク・ジョーンズ。
演じる役者さん達も、P・C・ホフマン、サマンサ・モートン、ミシェル・ウィリアムズなど芸達者な方々ばかり、というかこの作品では大根は致命傷になりかねないのでキャスティングに慎重に行われた筈です。
ホフマン演じる舞台脚本家は妻子に出て行かれ、彼にアプローチしてくる彼女にもせっかくのところで男になれず、いつしか自分の頭の中にもう一つの人生を語る劇場を作り上げてしまう。
実際の事実の一部を切り取ってきては、そのピースを脳内劇場のモザイク模様にあてはめて自分の人生を膨らませていくのです。
感じ方は様々だと思うのですが示唆に富む部分は色々ありました。妻とのこと、子供との関わり方、本当は最愛の人物になったかもしれない女性、等々。
でも、少し時間が長く感じたのも事実でした。
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by asat_abc | 2009-10-31 21:27 | 映画_新作

「ファイルデスゲーム」はジュマンジのダーク版

その昔「ジュマンジ」を観た。ロビン・アダムスが道先案内人だったような気がする。奇想天外でハチャメチャなストーリーだった、と思う。ボードゲームをしている家族がゲームを進めていくたびに動物達が暴れ出し、それに巻き込まれ振り回されて、クリア出来なければ現実の世界に戻れない、そのダーク版がこのファイルデスゲームだった。だが、その作風は似て非なるものでした。
前者はボードゲームをしながら物語が進んでいくのに対してこちらの方はゲームの結果が出てから死の影が忍び寄るというもので、ゲームの最中での手に汗握るシーンが無いため、ゲームでの緊張感がまるで無いのです。
死んで逝くシーンもありきたりで、斬新なものはないし、私にとってはイマイチの出来でした。
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by asat_abc | 2009-10-31 20:50 | 映画_新作

「キャピタリズム」マイケル・ムーアの反骨精神

ノンフィクションがドキュメンタリーとするならばこれはドキュメンタリー映画である。この分野で退屈せず一気に観れたのは二本目だ。
この映画を観てオバマ大統領が何故ノーベル賞を取ったのかその一端がわかったような気がする。彼のチェンジというメッセージは多くの国民の勇気という背中を押したようだ。日本の衆議院選挙にもかなり影響を及ぼしていると思う。
この映画を観た感想や、わかった事を忘れないうちに箇条書きにしてみることにする。
アメリカの1%の富裕層の富は他の99%の富より多い。その為にアメリカドリームなる架空の夢を用意している。
アメリカの標準的学生は奨学金を受けており卒業までに10万ドルの借金を背負う。
アメリカのパイロットの年間給与は5万ドルに満たずパイロットを続ける為にアルバイトまでしている。パイロットとはボランティアの一種になっていて、ハドソン川で名をあげたパイロットは上議院会議に呼ばれた時にそのことを訴えたら、黙殺されたそうである。
会社は従業員に無断で保険をかけている。配当が最も良いのは若い女性である。彼女達が最も死から遠い存在だからだ。この例は企業が儲ける為には個は犠牲になっても構わないという資本主義が蔓延している証左だ。
アメリカ政府を動かしているのはウォール街の金融家達だ。彼らは大統領選挙の時から選挙援助と称し大統領への影響を強め、当選後はそのご褒美とばわかりに大統領を傀儡のように操る。一度議会で否決されたにもかかわらず野党議員まで巻き込んだリーマンショック直前の金融界への政府資金注入は彼らの影響力行使の結果である。この構造はあたかも日本の官僚支配に通ずるものである。
オバマは彼らの影響を受けずに大統領になった。彼のチェンジという言葉は、金融界支配打破という意味も込められている。日本の政治家主導と相似している。

資本主義の行き着くところは弱肉強食の世界であり、富の偏った分配なのだろう。これを正しい分配に是正するのが政治の役割ナノだと思った。
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by asat_abc | 2009-10-31 17:52 | 映画_新作

「路上のソリスト」物質社会と精神社会

ロバート・ダウニーJRさんの真面目な作品を初めて見ました。アメコミのヒーローとか徹底的にふざけたノリの出演作を観たことはあったのですが、普通の彼の作品、といってもちょっとおちょくったような感じが漂うのですが。
ジュリアード音楽院に入学したというのに路上で音楽を大切に続けている男に大手新聞のコラムニストは興味を惹かれ彼の記事を載せるようになるとともに友人として親身に面倒を見始める。
路上のソリストが求めるものは、音楽が出来る環境と生きて行く上必要最小限のガラクタだけ。この物質社会に疑問をていしているかのような映画だった。最後少しテーマがぼけてしまったような気がする残念な作品だと思います。
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by asat_abc | 2009-10-26 21:03 | 映画_新作

「レスラー」あの素敵だったミッキーが。。。

ミッキー・ロークといえばセクシーだが女たらしで悪い奴、ってイメージでしたが、
この映画では、そんな生活をおくった後の晩年はどうなるのかという、
まるで道徳の教材のような役をやってました。

20年前のトップレスラーもいまや過去の人。
ドサまわりのプロレス興業に出ています、
それでもメーンイベンターをしているのだからそれなりに敬意を払われているので
さほど胸は痛みませんが、映画の進行と共に胸が痛んでくるのです。
一世を風靡したレスラーだというのに粗末な部屋の家賃さえ滞納して、
部屋を締め出されます。
儲けたお金、一体何に使っちゃったのでしょうか。
きっとこんな風に使っちゃったんだろうというお馬鹿なシーンもちゃんと用意されていて
そんなところも憎いところです。
人間強い時は勝手な事ばかりして、
困ったら泣きついてくるという哀れな役を見事に演じていました。
思わず自分の晩年は大丈夫だろうかと考え込んじゃった程です。
自分の将来を考える為にぜひお薦めの映画です。
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by asat_abc | 2009-10-24 22:45 | 映画_新作

「さまよう刃」男性鑑賞者の多い映画

電車の対面には可愛らしい中学生ぐらいの娘が座っている。
この映画ではこんな純真無垢な娘が見も知らずの少年達に急襲され、
車に連れこまれ、彼等の部屋で注射を打たれ、陵辱され、
挙げ句の果てに殺され土手に棄てられてしまう。
妻を失い娘だけを生き甲斐にしていた56歳になる父親の気持ちは
いかばかりのものであろうか。

父親が娘が死に至るビデオシーンをみてしまった時のリアクション、
どうなるのか、一瞬父親役の寺尾聰に注目してしまった。
私の予想は外れてしまったが納得させられた。

ストーリーは骨太で、少年法によって極刑が阻まれしまう犯人達を
自らの手で裁こうとする父親の復讐劇である。
それ以上の意味をこの映画から求めようとすると
あてが外れるかもしれない。
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by asat_abc | 2009-10-24 22:11 | 映画_新作

「ココ・シャネル」という女性

シャネル成功の秘密などとパンフレットに書いてあるものだから、彼女がビジネスの世界でどんな風にステップアップしていったかを描くドラマだと思っていたら、彼女の愛を彩どった男性達との物語だった。人生の前半部分は不幸な生活を送っていたようだ。孤児院のような施設で姉と一緒に育ち成人後も仲の良い姉妹だったようだが、彼女達の時代に女性が働く場所といえば限られた場所しかなく、のし上がっていくためには金持ち男の援助が不可欠のが良くわかった。最初はバトロンのつもりだった男性もいつの間にか彼女の虜になってしまっていた、なんてことも事実なのだろう、彼女は成功者なのだから、その辺のイメージもオドレイ・トトゥの魅力のおかげで素直に伝わってきた。彼女の成功の原点には幼少時代のハングリー精神があったことがこの映画を観れば良くわかる、と思う。
個人的にはビジネス・サクセスストーリーの方が良いと思ったが、基本的には女性対象のドラマでした。でも、自立心の強い方にはムカつく映画かもしれません。
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by asat_abc | 2009-10-24 13:12 | 映画_新作

「悪夢のエレベーター」、このプロットを読みきれるか?


堀部圭亮の初監督作品。
歯切れが良くて、一度な〜んだこんなものかと油断させて、
実は次なるプロットが用意してあり、
更にもう一押しがあって、最後には騙されたと突き放された。
事前に劇場予告を何度か観たことがあったが、
その時も前半の第一関門のシーンばかりでそこさえ見破ればと思っていたが、
一時間ばかりでそのシーン、つまり悪夢のエレベーターシーンは終わってしまうのだ。
第一の関門はクリア出来た。
そこからはゆったりと種明かしが語られ始め、これだけかと思わせた瞬間、
次なる展開、エレベーターの外での展開が用意してあった。
左津川愛美、内野聖陽、モト冬樹、斎藤工の4人のエレベーターシーンはとても面白い!
特に左津川のひきこもり少女役ははまっていた。
舞台劇でも通用しそうな設定で、
一昨年観た「キサラギ」のような味わいのある作品でお薦めの映画です。
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by asat_abc | 2009-10-21 18:37 | 映画_新作

「エスター」、人間が一番怖い!

これぞサスペンス・スリラー、この分野、今年は「チェイサー」で決まりと思っていたが、この「エスター」も甲乙つけ難い見応え映画だった。この分野の最近の作品といえば怪奇現象が前面にでてくるものばかりで、確かにみている時はそれなりに楽しめるものの、後で振り返ってみるとピーマンみたいな作品が多くのだが、この映画、ズッシリと中味が詰まっている。エスターという少女の本性や正体がひとつひとつ暴かれていく。一つの事実を覆い隠す為にまた一つ残虐な行為を重ねていく。エスターというこんな幼い少女が何故ここまで残虐な行為が出来るのか、これほど才能豊かな娘ならもっと世に受け入られる筈などと思いきや、綺麗なドンデン返しが用意されていました。
この手の映画で良く思うことですが、あのわざとらしいカメラアングル、後方から近寄って何か起こるぞとばかり音楽まで煽りたてるやり方で今回もかなりやられてしまいました、これって演出が巧いってことなんでしょうね。
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by asat_abc | 2009-10-19 19:30 | 映画_新作

「わたし出すわ」、小雪のお金の使い方

チョン・ジヒョンと共演した妖艶な鬼役も良いけれど、マツケンと共演した抜忍で良妻賢母役も良いけれど、今回の翳りを持つ神秘的な役も無難にこなしていました。演技派女優と言うのは躊躇してしまうが、存在感があることは間違いなく独特の雰囲気を持っている。そんな小雪が演じるのは金のなる木を持つというのに自分自身は質素な生活を送る謎の女。そんな彼女、久々に故郷に帰ってきて友達の夢を叶えてあげる為、「わたし出すわ」とお金を提供していく。その善意を有効に使う人もいれば、金に振り回されて堕ちて行く人もいる。
ゆったりしたペースでどこかユーモラスな展開で気が付けばにやついている自分がいる。
お金が大好きな人はこの映画を観て羨んでみるのも一興です。
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by asat_abc | 2009-10-15 21:02 | 映画_新作