「終の信託」、こうやって犯罪者はつくられる!

二時間半に及ぶ長丁場の映画、最初は医師である主人公折井綾乃(草刈民代)の身の上説明が30分ほど有り、
次にこの物語のキーマンである喘息患者江木秦三(役所広司)との交流、そして『終の信託』をされた事情が約一時間で語られる。
ここまでは二十分ぐらいの間隔で時計を確認していた。
最後の約一時間、
検事塚原(大沢たかお)と折井綾乃との壮烈なバトルは目が離せず、
時計を見ることもなく、一気の時間が流れた。

検事の調書がまるっきりのフィクションなのか、それともある程度現実に則したものなのか事実はわからないが
昨今の週刊誌からの情報だと作り物ではなさそうだ。
だから、並みの人なら大概自白させられるのだろう、
大沢たかお演じる塚原検事は本当に嫌な奴だった。
初めから逮捕状を机に忍ばせ、事実だけを語ると称して余分な反論は遮る。
呼び出された者は参考人からいつしか被疑者、最後には犯人にされてしまう。

明らかな犯罪者ならばそれでもよかろうが、
テーマの『尊厳死』ともならば、白黒よりもグレーな部分が殆どで
色の濃淡で判断する事になる。

元になる事件は川崎の病院で実際にあったようだ。
患者が死んで三年経ってから告訴されてしまう。
患者の親族への説明も不十分で、『リビング・ウイル』の意思表示も無い患者を尊厳死させたと
私が読んだ記事には書いてあったが、本当か疑問だ。
懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の評決で殺人事件時化では最も軽い判決だったからだ。
この映画の場合、
明確なリビング・ウイルの意思表示があったし、
親族へのそれなりの説明もあったのだから、検事の誘導逮捕となるのか?

伝えたい事は『尊厳死』という深いテーマに在るのは良くわるが、
映画としては終盤の検事と折井医師との尊厳死に対する応酬が面白かった。

前半部分をあと30分短く出来たらそう時計を見ることが無かったと思うが、
それでは情感を残せないのだろうか。
[PR]
by asat_abc | 2012-10-09 06:22 | 映画_新作
<< 「アウトレイジ ビヨンド」、た... 「闇金ウシジマくん」、借金はコワい! >>