ヴァンサン・カッセルの堕ちていく修道士 「マンク」

渋谷のシアターNは時々利用する劇場です。
ホラーとか際物の上映が多いので、
この作品「マンク」もチラシの感じからその手の作品と思いながらも、
何かそそられるモノを感じ、 観に行っちゃいました。
金曜日のアフター5、上映時間の5分前に何とか到着です。
席をゲットしてから周りを見渡すと、
なんと観客は私を含め4人です。
大丈夫〜?
とんでもない映画を観に来てしまった?
と後悔がはしりだしました。
上映開始までに観客は二倍に増えまものの、
依然ガラガラです。

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映画が始まると不安は一気に吹き飛んじゃいました。
主演のヴァンサン・カッセルが魅せてくれます。
映画のテーマは殉教と背徳。
修道士や修道女が迫り来る誘惑に負けてしまい
落ちて行く者達が哀れに描かれています。

時は17世紀後半ぐらい
ヴァンサン・カッセル演じる修道士は
修道院の前に捨てられていた赤子で、
修道士達に育てられて、修道士になるべくして成人しました。
序盤は信仰に帰依する事に一途で、誰からも慕われる姿が描かれています。
修道院の生活しか知らない、無菌培養された修道士の姿が描かれています。
そこへ悪魔の手先が彼を誘惑しに来るのです。
焼けただれた顔を隠すという名目で覆われた仮面の下には
美しい女の顔があり、彼を誘惑してくるのです。
その誘惑は強引な形で彼に迫ってきました。
一度の過ちで踏みとどまっていたならば
情状酌量の余地があったのでしたが、
見つかったならば必ず信用は失墜してしまうと思い込んでしまったのでしょう。
何故ならば自分自身が一度の過ちも許さない教条主義者だったから。

更には彼は甘美な味を知ってしまったのです。
タバコも吸ったことがなく禁煙している人よりは、
タバコの味を知った上でやめる方が何倍も禁煙は困難になるでしょう。
彼は甘美な誘惑にズルズルと引きずられ、堕ちていくのです。
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彼と仮面の修道士、
彼と懺悔する修道女
彼の説法を聞いて崇拝する少女という
三つのエピソードを絡めながら彼が地獄に堕ちていく様が描かれています。
ヴァンサン・カッセルの抑え気味の演技にも、
喝采ものです。

残念なのは
一時間半程度の作品だけに
彼が悪魔の誘惑に負け、落ちて姿にそれほど時間をかけられていない事です。
この部分はもっともっと強調して欲しかったところです。
その過程で人格が破壊されて行き、人相迄もが変わっていく様や
実は世俗に染まってしまった方が 人々には魅力的見えるという事を
R指定が付くぐらいこってりと描いて欲しかったのですが、
実にあっさりと描かれてしまったのは残念です。

更にいえば、
鑑賞後、パンフレットを買ったのですが、いくら500円で安いとはいえ
三つ折り裏表版ではいくら何でも暴利でしょうが!
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でも、求道者的な性格の人には 面白く感じれる映画です!
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by asat_abc | 2012-04-25 06:11 | 映画_新作
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