トリコロール三部作、一気に鑑賞

2011年暮れに、これが日本では最後のリバイバル作品と触れ込みの
トリコロール三部作、青・白・赤を一気に観ました。


この作品の事前の知識は殆ど無い状態で観ましたが、
後で調べたところ、
監督はクシシュトフ・キェシロフスキという54歳で亡くなったボーランドの監督です。
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観た順番はトリコロールカラー同様、自由・平等・博愛の青白赤の順で観ましたが、
製作されたのも1993〜94年、この順番で良かったようです。
監督の遊び心なのか3本の作品に共通するワンシーンとして
裁判所のシーンが有りました。
何故裁判所なのか、それは赤のメインキャストが元判事だからだと
勝手に解釈しちゃいましたが。
それと観ていた時にはまったく気が付かなかったのですが、
赤の愛の後半部分に前二作に出演していた俳優たちが出ていたようです。


一本目は青の愛、
ベネチア映画祭で金獅子賞作品です。
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テーマは「自由」のお話し、ジュリエット・ピノシェが主人公です。
ジュリーは、自動車事故で旦那様とまだ幼い娘を一瞬に失ってしまいます。
その喪失感から開放されるまでの葛藤を描いていました。
一人残された彼女が子供のキャンディを食べた後、条件反射のように夫を思い出し、
まるで夫の代わりでもさせるように自分に想いを寄せる男を呼びつけ、
一夜を供にするシーンは物悲しくなってきます。
この夜を契機に、彼女はお城のような我が家を出ます。
それが開放への第一歩になったのです。

夫への想いを断ち切る為に彼の事をもう一度調べ直していく内、
夫には、身ごもった愛人がいる事が判明します。
この辛い事実を乗り越えた末、彼女は一度は棄てたはずの我が家に戻って来るのです。
旦那さんの愛人まで連れて。
この辺の感覚がフランス流なのでしょう、残念ながら私にはわかりませんでした。


次は白の愛、テーマは「平等」編です。
ベルリン映画祭で監督賞受賞作です。
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愛おしくて狂おしくなるほど愛する妻、ドミニクから
性的不能を理由に離婚され 傷付いたカルロが自国ポーランドで実業家として一旗揚げて、
妻を見返そうとします。
妻は夫の事を疎んじながら、本当にいなくなったと思った時、
初めて夫の事を深く愛していた事に気付くという、
アイロニーたっぷりな作品でした。
離婚原因の性的不能は 米では当然の離婚理由でしょうが、
男女間の愛情では、
一方が惚れすぎてしまった時に
平等では無くなるとでも語っているようなお話しに思えました。
離婚を突きつけ、最後に罠にかけられる元妻役、
ジュリー・デルピーが魅力的でした。


三話目は赤の愛、テーマは「博愛」です。
前二作のようにベネチア、ベルリンでの受賞となりませんでしたが
作品としての評価は一番高いようです。
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退職した裁判官、ジョゼフの趣味は盗聴、
彼が飼っている犬を通して知り合った若い女性、バランティーヌに、
盗聴によって知った人達を的確に予言してみせるが、
彼女の汚れのない純真無垢な人柄に触れ元判事の心の青春の蹉跌が開かれはじめる。
彼が貧乏法学生の頃愛した女性は
将来より現在を取り、彼を棄て他の男の元へ去っていったのだ。
そのトラウマが引き金になって、
彼は人間不信に陥ってしまったのだが、
彼女と交流を持つ内にその痛みが徐々に癒され、考え直すようになる。
そしてロンドンへ旅行するという彼女に
船旅を勧める。
だが、折からの暴風雨の為、彼の元に船の転覆事故のニュースが飛び込む。
テレビでニュースに食い入る彼の目に救出されたバランティーヌの姿が映しだされる。

出演は「二人のベロニカ」のイレーヌ・ジャコブと
「男と女」のジャン=ルイ・トランテニャン。
モラルとインモラルとのはざまで正しいこととは何かを考えさせられた、
とても出来の良い作品だと思います。

3部作を観て、心地良い満足感を味わいながら映画館をあとに出来ました。
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by asat_abc | 2012-04-07 12:17 | 映画_新作
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