「ミスター・ノーバディ」、一番幸せな選択は?

ニモの人生を振り返る映画が始まる。
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今までバタフライ効果やタイムトラベルで
ある人の人生が変化してゆくというものはあった。
だが、ひとりの人間が生きていく上でくだしてゆく選択によって
人生が分岐し変化してゆく様を見る、
それも10通り以上のシナリオを見せてくれるものは記憶にない。
一度観ただけでは複雑すぎて、味わう余裕がなかったので、
正しい評価が出来ない。もう一度観てみたいと思うし、
この手の作品は二度目に突然印象が変わることがある。


舞台は2092年。
もう人間は不死を手に入れ、ニモが唯一死ぬ人間だ。
世界中がニモが息を引き取る姿を注視している中、
一人の新聞記者がニモに、彼のたどってきた人生を聞き出す。
その質問に対してニモはゆっくり自分の人生を語り始めるのだが、
彼の語る話は理解不能な話なのだ。
9才のニモの脳裏には三人の少女の姿があった。
赤い服のアンナ、青い服のエリース、黄色い服のジーンだ。
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ニモは母親が(自分が想いを寄せる)アンナの父と密会する姿を見て、
ショックを受ける。
母親の浮気のせいか、夫婦は離婚。
電車のプラットフォームで母親と一緒にこの町を出て行くか、
父親とこの町にとどまるか選択を迫られる。
ニモがどちらの選択をしたのか、
明かしてはくれない。
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母と一緒に行った街で、ニモの前に再びアンナが現れ、
数々の選択肢が提示される。
アンナとの仲が良くなる選択、
アンナに嫌われてしまう選択、
たった一つの言動でアンナの態度が見事に変わってしまう。
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一方、父親と一緒に町に残ったニモが想いを寄せたのは、
エリースだ。
彼女には大好きな男がいたが、相手はさほどではない。
その隙間に入り込み、ニモが取った選択が幾つも示される。
結果、エリースと結婚し二人の子供をもうけるが、
エリースは精神を病み気味で家庭は幸せとはいえない。
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ニモのもう一つの家庭、エリースを諦めジーンとの結婚を選んでいた。
だが彼女との生活は裕福であるものの
つまらないものだった。
ニモにはジーンに対する愛情がなく、
ジーンもいつの間にかニモからの愛情を期待できないことを悟り、
人生を後悔している。

この映画を見れば
ひとりの人生には多くの可能性と
一つひとつの言動にそれなりの重みが有ることが良くわかるのだ。

出演者
主人公ニモ:ジャレッド・レト
15才のニモ:トビー・レグボ
アンナ:ダイアン・クルーガー
15才のアンナ:ジュノー・テンプル
エリース:サラ・ポーリー
ジーン:リン・ダン・ファン

監督は、ジャコ・ヴァン・ドルマン、寡作な監督で長編はこれが三作目

137分、2009年制作
フランス、ドイツ、カナダ、ベルギー制作映画
アステア配給
アスミック・エース提供
ドルマル監督は91年に「トト・ザ・ヒーロー」を発表して以来
長編は三作目だ。
非常に寡作な監督だけに次はいつ発表するやら。
それだけに
これだけ複雑な題材を
とても緻密に、そして出来るだけ分かり易く演出している。

この映画で
観客側は色彩でも判断する事になる。
赤は情熱的で、アンナとの激しい愛の交流を意味する。
青は愛情深い色だが、エリースとの不安定な生活を意味する。
黄色は裕福で慎ましやかな色、だが平凡すぎてつまらない生活を意味する。
ダイアン・クルーガー
サラ・ポーリー
リン・ダン・ファン
この三人がジャレッド・レトと
この色の物語を紡いでくれるが、
それよりも、
15才のニモを演じるトビー・レグボと
アンナを演じるジュノー・テンプルの瑞々しさが際立っていた。

監督はいう。
僕の映画では自由という問題が大きなテーマのひとつになっている。
「ミスター・ノーバディ」によって道徳や倫理ではない、
哲学的なおとぎ話を作りたかったのだ。人生には楽しいこととそうでないこともある。
もし楽しいなら、それをやってみるべきだ。もしそうでないなら、やらなければいい。

私が、ニモに選んで欲しかった人生は、これだ。
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どちらにしても一度観ただけでは評価は出来ない。
残念ながら一度観の段階で、傑作だ!
なんて言うつもりはさらさらない。


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そのくせ、パンフレット買ってしまいましたが。
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by asat_abc | 2011-06-20 12:49 | 映画_新作
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