「愛する人」、ツボに嵌った珠玉の逸品

「キッズオールライト」に引き続き
アネット・ベニングの出演作品「愛する人」の紹介です。

アネット・ベニング演じる母は14歳で子を身ごもり、
赤ん坊は産まれると同時に
里子に出されてしまう。
元々神経質な気性ゆえ、その事が自分自身への負い目になってしまう。
母親すら心を通わすことが出来なくなり、
周りから孤立する女性となってしまった。
今は移民の家政婦の女性に母の面倒を任せ、
介護施設で働いているが、母からも家政婦からも煙たがられている。
実の母親ですら、家政婦のシングルマザーの女との方が話をし易く信頼していたのだ。

ナオミ・ワッツ演じる里子に出された娘は、
養子先の不幸もあって、結局自分の力だけで生き抜くすべを身に付け、
逞しいキャリアウーマンになっていた。
職業は弁護士、バリバリのやり手だ。
人から詮索されるのを嫌うが、本能を否定する訳でもなく、
隣の部屋に住む旦那を誘ったりする。
仕事の上司も誘う、
それはプライベートなひとときを演出するためであり、
あくまでも自分の能動的な行動としてだ。
ちゃんと避妊の対処はしていたが、不幸にも妊娠してしまう。
その時、エリザベスは母性に目覚め、母を思い始める。

ルーシーは子供を産めない女。
旦那と相談して養子を取ろうとする。
この作品に彼女の存在が何故必要なのか、最初わからなかった。
敢えていうと、カレンのように里子に出さなければならないような立場の女性と
エリザベスのように里子に出された子供の立場を取り持つ
そんな役割と思っていたら、
そんな風に持ってきましたか、と納得させられてしまう展開が用意されている。
まぁ彼女の部分はかなり出来過ぎクンのストーリーだったのですが。

出演者
主人公エリザベス:ナオミ・ワッツ
母カレン:アネット・ベニング
ルーシー:ケリー・ワシントン
バコ:ジミースミッツ
監督は、ロドリゴ・ガルシア
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126分、2009年制作
アメリカ・スペイン映画
ファントム・フィルム配給

一概にこころ温まる作品だともいえないけれど、
芸達者な出演者達だから出せた上質の作品だった。
その作品をアネット・ベニングの視点から考えてみた。

カレンは子供を産み棄てた過去を引きずり誰とも打ち解けられないものの、
実の母親とはなんとか心を通わせようと試みる。だが、交わる事が出来ないまま、母は亡くなる。
家政婦には不満いっぱい。
一緒に連れて来ている子供が家にあるものを勝手に触るのが我慢ならない。
子供なんだからそんな目くじらたてなくてもって気持ちはカレンだってわかってる、だが自分の気持ちを押さえられない。
そんな時、彼女の職場に新しい男の同僚バコが入ってきて、彼女に接近してくる。
何度かデートするものの、上手くいかない。
カレンの方が難癖つけてぶち壊してしまう。
そして後悔する。
それでもバコは彼女から離れていかなず、温かい眼差しをむけてくる。

徐々にカレンの気持ちが打ち解け始め、
カレンの振る舞いが変わっていく。
家政婦の娘への険しさが和らぎ、
懐かれるようになると笑みがこぼれるようになる。
家政婦との関係も見ていて微笑ましいものとなってゆく。
その変化の表現力が素晴らしいのだ。

やがて男と一緒に住むようになると、
満たされていなかった思いを実現させようと思うようになり、
里子にだした子供にコンタクトをとろうとする。
修道院のようなところが養子縁組みを取り持っていて
彼女がバコに付き添われそこへやってくると
手紙を預かってくれるという。
親と子を取り持つファーストコンタクトは手紙なのだと。
決心し手紙を託すのだか、
なかなかエリザベスとコンタクトが取れず、
後悔しかけていたカレンに届いた連絡は残酷だった。
エリザベスは亡くなり、子が残され、今はルーシーのところへ養子にだされている事がわかる。
悲しいストーリーだが、救いはカレンにとっての孫が、愛情溢れる里親に育てられていることだ。
アネットじゃなければここまで感動させられなかったと思う。
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by asat_abc | 2011-06-16 14:11 | 映画_新作
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