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「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」、ジョン・レノンの若き日

サム・テイラー=ウッド監督
クリスティン・スコット・トーマス、アーロン・ジョンソン、アンヌ=マリー・ダフ出演
98分、2009年制作
イギリス、アメリカ映画
ギャガ配給


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ジョンレノンの若き日の苦悩を綴った映画だ。
ジョンってこんなイケメンじゃなかったよな、なんて思いながら観ていたら
キックアスのアーロン・ジョンソンなんだと、見終えた後に知って驚いてしまった。
その上彼はもう結婚していて、相手はこの作品の監督、
それも23歳年上だという事も知って二度驚いてしまった。
事前に知っていたら見る角度は少し変わっていたと思う。
なんせ、この映画、一人の若い男をめぐる二人の中年女の対決の構図なのだから。

多感なハイスクールボーイのジョンは叔母、伯父の家で育てられていた。
優しく愛情を表に現す伯父と違い、叔母は彼を厳格に育てようとうるさく、
ベタベタした関係を好まない。
ある日突然叔父が倒れそのまま帰らぬ人となる。
その伯父の葬儀の時、
何となく見覚えある人が参列する。彼女は実の母であり、家から直ぐ側に住んでいたのだ。
躊躇しながらも訪ねるジョンを母は大歓迎する。
今は二人の娘と旦那さんと楽しく生活している。
実の母は叔母とは違い明け透けで開放的な性格だった。
母の教えでジョンは音楽にのめり込むようになる。
だが叔母は母と会う事に難色を示す。
叔母の目をかいくぐって親子はデートでもするかのように逢瀬を重ねるのだが、
母の旦那も家事を放棄気味の妻にイエローカードだ。
結局、叔母の監視下、
ジョンはバンドを組んでますます音楽にのめり込んでゆくとその才能は開花、
彼のバンドにポールやジョージも参加し、人気はメジャー級?になる。
そうなるとジョンを巡る母と叔母の激突の火花は頂点に達し、
ジョンの希望で叔母の元で育てられた理由が明かされる事になる。
母は奔放な女性でジョンを生んでいながら他の男と付き合い始め
ジョンの父と離婚する事になった。
その際彼等はどちらと一緒に暮らすかジョンに選択させ、
ジョンはいつもそばにいてくれる父親を選んだ。
それを叔母が強引に奪い返して手許で育てたのだ。
その事がジョンの知ることになって
逆にようやく姉妹のギクシャクしていた関係は元に戻った。
ジョンのバンドも順調そのもの、そんなとき母が交通事故で亡くなる。
それを契機にジョンは叔母の家を出て独立する。
少し時間が経過し、叔母の元を訪れるジョン。
ドイツへ行くためパスポートを作るからサインが欲しいと、ジョン。
どこにサインすれば良いのと、叔母。
両親のところと保護者のところへと、ジョン。

その瞬間、叔母のなんとも言えない顔。嬉しすぎると嬉しい顔が出来ない。だが、彼女の至高の瞬間だ。

その後ジョンは毎週末
叔母へ必ず連絡をいれたという。


ジョンにはある意味二人の母がいた、その二人とわかりあえる関係になった物語、
嫌な言い方をすれば、マザコンなジョンの、独りよがりな悩みをどのように克己したかの物語だ。
今年に観た映画、
ショパンではサンド夫人の息子が母をショパンに取られないように妨害する。
告白では、とても優秀な中学生の少年の残酷な企ては母への恋慕の一念だった。
そしてこの映画でも、母への愛憎がテーマだった。

男とはそんなに母に弱いものなのか?
なんか男であることが情けなくなってきた。
by asat_abc | 2011-03-15 06:29 | 映画_新作
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