「冷たい熱帯魚」雑感から

園子温監督
吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり出演
日活配給、2時26分

園子温監督の世界に釘付けにされた。

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ネタは事実から拾い上げ 、エッセンスだけを映像化したというが、
ベースとなる事件がグロいせいで気色悪すぎ好みのツボにはハマらなかった。
だが、気がつけば2時間26分が過ぎていた。


今回はベースとなった事件と出演者についての雑感を。
事件は1990年代前半猟奇殺人事件として世間をかなり騒がせた事件、
うっすらと記憶に有るものの定かではない。
時はバブルがはじけて直ぐ、多くの経営者は金策に困り始めていたころ。
そんな頃、店を経営していた夫婦がとんでもない事件をひきおこした。
男はペットや猛獣の扱いにかけては天才的で、ブリーダーとしての腕は非常に優秀だった。
また、人間心理を読むことに長けており、ヤクザのような風体とは裏腹、
独特なユーモアと巧みな話術で人々をひきつける。
この人物の役をでんでんが演じていた。
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妻は、寡黙だが、気が強、く金銭管理能力にも優れていた。
殺人現場に居合わせばかりでなく、遺体の解体にも携わり、手馴れた作業だったという。
さてこの二人の経営方法はと言えば
犬が産まれたら高値で引き取る と謳っておきながら、犬のつがいを法外な価格で販売、
子犬が店に持ち込まれると、難癖を付けて値切るというもの。
挙げ句、その手口が通用しない客は殺してしまう、というものだ。
しかも殺し方が残忍、「ボディを透明にしてしまう」というもの。
遺体を解体するのだ。解体した部位は骨・皮・肉・内臓に分けられた上、
肉などはから揚げ大に切断、骨はドラム缶で灰になるまで焼却される。
それらは全て山林や川に遺棄された。
遺体を埋めても骨は残るが、焼却してしまえば、ボディは透明になっちまい、
証拠は何も残らないと言うわけだ。
遺体はそのまま焼くと異臭が発生するが、骨のみだけを焼却すれば大丈夫、
映画ではにおいなのか最後まで焼けようになのか、焼く際に醤油をかけていた。
燃えカスとから揚げ大の肉は川に捨てて魚のエサにしてしまい、すっかり何もなくなるのだ。

観るに耐えがたかったのは、その解体作業現場。
夫婦は和気あいあい、鼻歌混じりにまるで魚を捌くように仕分けするのだ。
血糊がべっとり、映像を観ていても臭ってきて具合が悪くなりそうな場面を
でんでんと黒沢あすかが楽しんでやっている。
「いくぞ〜、愛子」
「あいよ〜、あなた」
って具合にまるで魚を捌いているかのような風景は、調べると実際の事件のコピーであるようだ。
グロの方は調べれば調べるほど、かなり事実に忠実らしい。


監督が想像を加えたのはエロの方のようだ。
特に黒沢あすか演じる経営者の妻役は出色だ。
監督の園子温氏も、「黒沢あすかでなければ村田愛子役は成立しなかった」と、
彼女を称えている。
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妖艶だが裏側が透けてみえ良い人でないことは直ぐわかる。
村田愛子は、一見エスなのだが 実は どエムで強い者の隷属物になりたい
という性癖癖のある女の設定だ。
だから、でんでん演じる村田がヤバくなるとヤクザの用心棒とも寝たりするし、
主人公が村田を殺してしまうと、主人公の言いなりになって、
村田のボディを透明にしてしまおうとする。
その際、主人公に殺され掛かっているというのに、
全身を血で真っ赤に染めながら少女のように無邪気に愛を請い
恍惚然とした顔は、不気味だが、清らかさを感じた。
「下着姿にちょっと血が付いて微笑んでいる彼女がとてもエロティックだった。
思わず血の量を増やしました。血がついた黒沢さんは魅力的でエロティック。
そして本当に美しかったです」と園子温監督に言わせしめている。

黒沢あすか、アッパレな女優さんである。
もう少し若いときに出会いたかったものだ。

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観た後、黒沢あすかさんの画像を探した。
それを見てビックリ!
映画の顔とまるで違う、二度ビックリである。
演じるとはここまで姿を変えてしまうのか、
若い女優には吹っ切れない逞しい女優道を追う姿を感じた。
私の注目女優にしっかりはいってしまった。

ストーリーも忘れないうちにしっかり記載しなければ。
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by asat_abc | 2011-02-10 22:42 | 映画_新作
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